住宅や車の購入など、人生には一時的にまとまった額のお金が必要になるときがあります。ローンを申し込んだとき、審査に大きな影響を与えるのが信用情報です。一度は聞いたことがあるものの、信用情報がどんなもので、何がわかるのが正確に言える人は少ないのではないでしょうか。
信用情報は個人情報の中でも個人のお金の使い方の履歴がのこる大変重要な情報のひとつです。将来、おおきなお金を支払う必要が出た時にピンチにならないよう、信用情報とは何なのかをしっかり理解しておきましょう。
信用情報とは、カードローンや住宅ローンなど各種ローンの支払い状況はクレジットカードの使用履歴の記録のことです。
日本では主にクレジットカードを作るときや各種ローンを借りるときの審査の判断基準に使われます。
キャッシュレスが徹底しているアメリカでは信用情報が日常生活に大きな影響を及ぼします。どんなに大金を持っていても信用履歴(英語では credit history)と信用履歴によって算出されるクレジットスコア(credit score)がなければ信用されません。アパートに入居できないことがあります。
また、クレジットスコアが低いとローンを申し込んでも高金利になってしまう、就職が不利になるなどの苦境に立たされることがあります。信用の高い人はプライム層、低い人はサブプライム層とよばれています。
リーマンショックで頻繁に名前の挙がった「サブプライムローン」は信用力の低い移民などに貸した住宅ローンのことです。
日本に信用情報が本格的に導入されたのは1980年に入ってからのことです。それまでの日本は職業と大まかな年収で信用力を計るか、土地など不動産を担保にとることで個人融資が成り立っていました。
2006年からは携帯電話本体(タブレット端末、モバイルwi-fiも含む)の分割払いがCICに記録されるようになりました。2009年からは公的な奨学金機関の独立行政法人日本学生支援機構が全国銀行個人信用情報センターに加盟し、長期滞納者を登録するようになってきました。
日本には3つの信用情報機関が存在します。加入する業界に違いがありますが、同時に2種類の信用機関情報に加盟する企業もあります。
全国銀行個人信用情報センターは全国銀行協会(全銀協)が運営する信用情報機関です。保有する信用情報は、銀行系クレジットカードの情報、銀行の預金、住宅ローンなどの個人向け融資、中小企業系の法人融資で、8000万件近い情報を保持しています。
銀行系クレジットカード会社はKSCに加盟しているものもありますが、一部大手銀行系カードは2009年に脱退し、全銀協の信用情報を抹消しています。
株式会社シー・アイ・シーは、1984年に日本割賦協会(現日本クレジット協会)と日本信用情報センター、全国信販協会の信用情報機関を一本化して設立された信用情報期間です。信販会社などクレジットカード発行企業と信用保証会社、ローン・リース会社、移動通信事業者とその小売店、一部消費者金融、銀行、労金、など900社余りが加盟しており、7億件以上の情報を保有しているといわれています。
加盟企業は原則月1回の情報更新が義務付けられており、情報の信用度は高いとされています。
元は流通業・信販会社・クレジットカードにかかわる企業のための信用機関だったこともあり、発足当初は銀行や消費者金融などの金融機関は加盟できませんでしたが、2008年ころからは一部銀行や消費者金融も加盟できるようになりました。銀行はクレジットカードの情報のみCICに登録しているところもあります。
株式会社日本信用情報機構は、3社の信用情報機関が統合してできた信用情報機関です。そのため、加盟している企業の業種が幅広く、おもに消費者金融のデータに強いとされています。クレジットカードはCICと同時にJICCに加盟していることも珍しくありません。
これらの機関は相互に情報交換を行っています。
アメリカのように信用情報の記録が即、日常生活に大きな影響を与えることはありませんが、住宅ローンや車のローンなど大きな金額の融資をうけるときは、やはり信用情報の記録が大きく影響します。
クレジットカードで頻繁に延滞を起こしていたり、携帯電話本体の分割払いがされていない場合は、借入額が少くなったり、金利が高なる、最悪の場合は審査にすら通らないなど不利な状況が発生する可能性もあります。
信用情報は自分の目で確認することができます。ローンを申込むとき、不安な場合は信用情報の記録を一度確認することをお勧めします。確認する方法は信用情報機関によって違いがあります。
全国銀行個人信用情報センターの情報を見るには、開示請求申込書と本人確認のできる書類2種、ゆうちょ銀行発行の郵便定額小為替証書1,000円を同封して開示請求する必要があります。申込書はwebからもダウンロードできます。プリンターを持っていない場合はセブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、セイコーマートいずれかのマルチコピー機からプリントアウトしましょう。
以前は窓口で直接開示請求することもできましたが2011年8月で終了しており、現在は郵送のみの対応となっています。
載っている情報は銀行系の住宅ローン、カードローンなどの利用状況です。開示請求を郵送後、10日ほどで「登録情報開示報告書」が送られてきます。いくつか項目がありますが、大事なのは「残債額・入金区分履歴」です。ここが毎月の支払い状況を明示しており、滞納などローンの借り入れに不利な情報もここに載っています。いわゆるブラックリストにあたるものです。
その下には返済区分・延滞解消日・完了区分があり、ブラック履歴のその後の状況が乗ります。全国銀行個人信用情報センターではこれらの記録は5年間記載されます。
その間は高額なローンの借り入れは難しいでしょう。
CICの情報開示方法はPC、スマートフォン、郵送の3種類があります。PCとスマートフォンの申し込み方法はほぼ同じです。webで「お手続き前の注意事項」を確認した後、
となります。
郵送の場合はプリンターを持っていることが必須条件です。
となります。
CICの報告書は「お支払いの状況」と「入金情報」を見ましょう。「お支払いの状況」には残債額と返済状況があり、返済状況に「異動」とあった場合は要注意です。「異動」は
のいずれかです。当然ローンの借り入れには不利です。
は$、P、R、A、B、C、-、空欄のいずれかが入りますが$以外は種類は違えど入金の確認ができなかったことを示すもので(Rは本人以外からの入金、空欄は業者からの更新がない)、やはりローンの審査に悪影響が出るのは必須です。こちらの記録も5年間記載されます。
JICCの情報開示方法はスマートフォン、郵送、窓口での直接申込の3種類がありますが、窓口での申し込みはコロナウィルスの影響で2020年4月16日(木)~ 2020年5月29日(金)まで休止されています。延長の可能性も大きいので、今回はスマートフォンと郵送の請求方法のみを説明します。
スマートフォンの場合は
となります。
郵送の場合は
本人確認ができる書類は、写真付きのものであれば1種類ですが、保険証など写真のないものは2種類必要になります。請求前にしっかり確認しましょう。
JICCの報告書はファイルDとM、紹介記録の種類がある上に項目が多く、どこを見ればいいのかかなり悩みます。
となっています。ファイルDの場合は「異参サ内容・異参サ発生日」を見てみましょう。返済日より61日以上または3か月以上の延滞、債務整理などの金融事故、延滞解消の情報が載っています。
延滞、金融事故は5年間、延滞解消は1年記載されますので注意しましょう。
ファイルMは「支払遅延の有無情報」と「注意情報」を見てみましょう。この2項目でファイルDの「異参サ内容・異参サ発生日」と同じ内容になっています。掲載期間もファイルDと同じです。
紹介記録は企業側が情報の紹介をした目的が載っています。契約紹介と会った場合は新規契約時の返済能力調査が目的です。増資申込したときにも行われます。途上・債権管理照会とあった場合は契約中の返済能力調査が目的です。延滞などがあったときに行われますが、定期的に調査している場合もあります。
このように、信用情報はあなたのお金の動きが一発でわかってしまいます。ローンの申し込み時に虚偽の申請をしたところで、たちどころにばれてしまい、印象がわるくなるだけです。
本当にお金が必要になったときに困ったことにならないように、日頃からお金の管理はきちんとしておきましょう。