最近は婚活が盛況のようですが、その一方でせっかく結婚したのに数年で分かれてしまうケースも増えてきています。とくに若い夫婦の離婚となると、社会人経験も浅くお金がないまま離婚してしまうこともあるようです。
しかし、「お金の問題じゃない!」と感情的に離婚に踏み切ると、離婚前には想像もしていなかった苦労をすることになります。とくに子どもを引き取った場合、収入源、子どもの世話を一人で引き受けなければなりません。
離婚後の悩みはお金があれば解決できることがほとんどなのです。離婚後の苦労を少しでも減らすために、離婚の準備は万全にしておく必要があります。
離婚して、いざ新しい生活が初めてみると想像以上に生活が大変で頭を抱えるシングルマザー・シングルファザーは少なくありません。とくに離婚するまでずっと専業主婦で自分で自分で稼ぐ技術のないシングルマザーはとても苦労するようです。
離婚後に後悔したことについてのアンケート結果を見てみると以下のような回答が大半を占めています。
離婚当初は想像以上にお金がかかります。
引っ越し代、新しい住まいの敷金、礼金、必要な家財道具や家電の購入など、新しい生活の準備に最低でも50万円はかかるといわれています。
仕事をもたない専業主婦は無収入のまま支出が続く日々が続き、精神的に大変な負担を強いられることは簡単に想像がつきます。
母子手当など公的補助を利用することもできますが、たいていは月5万円にもとどきません。パートなどの仕事を始めると2万円にも満たないこともめずらしくありません。こんな生活が何か月も続くと不安がつのる一方です。
子どもがいる場合、仕事が終わっても今度は子どもの世話が待っています。食事の支度、お風呂、洗濯などやらなければならない家事が山のようにあります。お母さんに甘えたいさかりの幼いお子さんのいる家庭では、思うように家事をかたづけることもできません。
疲労がたまり、イライラして子どもを怒鳴ってしまい、後で自己嫌悪に陥るお父さん、お母さんも大勢います。離婚を思いとどまれば、子どもにつらい思いをさせずにすんだのかも…と後悔することが多いようです。
風邪をひいて体調が悪いときでも、収入が途絶えることが怖くて仕事休むことができません。家事、育児も待ったなしです。どんなに体調が悪くても休む暇がありません。遊びたいさかりの子どもの相手もしなくてはならいので、身も心も休まる暇がないシングルマザー・シングルファザーは大勢いるはずです。
もうお気づきかもしれませんが、実は2と3も経済的に安定していれば簡単に解決します。収入に余裕があればベビーシッターに預けたり、民間の保育園に預けて仕事をすることができます。
体調が悪くても、貯金があったり有給休暇のしっかりある正社員であれば安心して休むことができます。その間の子どもの面倒はベビーシッターにお願いすればすむ話です。
離婚後の苦労はお金の面ばかりではありませんが、お金があれば解決できる割合が非常に大きいのも事実です。
深刻なDVなど、よほど緊急事態でもないかぎり、早急な離婚は思いとどまったいいでしょう。
離婚前の一定期間、別居する夫婦も多いかと思いますが、一方に収入がない、あるいは少ない側が子供を養育する場合は配偶者に婚姻費用の分担を請求することができます。夫婦は同等の生活レベルを保つべきという生活保持義務の視点から設けられている制度です。
「養育費・婚姻費用算定表」は2003年に判例タイ ムズ1111号に掲載された算定表がもとになっています。現在は生活保持義務、子どもの最善の利益を考慮して2016年11月に改正された算定表が使われています。
支払額の相場はお子さんの年齢、人数、収入でも変わってきますが、月に3万円~10万円の範囲に収まることが多いようです。婚姻費用が決定した後、配偶者が支払いを行わない場合は強制執行で給与のを差し押さえることができます。合意内容は公正証書にしておくと何か問題があったときの証拠として有効になります。
ただ、これは婚姻が継続中に支払われるお金なので離婚が決まると受け取ることができなくなります。離婚後何年かして請求することもできません。
あくまで別居中生活費として受け取るお金なので、別居が決まったら早めに手続きをすることが大事です。
子どもを引きとる場合は、「児童扶養手当」と「児童育成手当」を受け取る手続きをしましょう。
「児童扶養手当」はひとり親家庭の児童の生活支援を行うのが目的で、年6回受け取ることができます。通常の離婚前の別居では受け取れませんが、親のどちらかがDV防止法の保護命令を受けている児童は離婚前でも支給対象となります。
また、公的年金と同時に受給する場合は別に手続きが必要だったり、所得制限があるなど細かい規定がありますから、申請する場合は厚生労働省のwebや市区町村の担当部署でよく確認しましょう。
「児童育成手当」は離婚・死亡・遺棄などの理由で、親と生計を同じくしていないひとり親家庭の児童の生活の質を向上させるための制度です。自治体ごとに制度の内容が微妙に違いますので、詳細は自分の住んでいる地区の担当部署に問い合わせてみましょう。
これらのほかにも15歳以下の児童に等しく支給される「児童手当」があります。子どもと別居している場合はこちらも自治体で対応が違ってくるので直接問い合わせてみましょう。
親に限らず、15歳以下の子どもを養育している人や後見人になっている人でも申請することができます。
離婚後に受け取れる公的資金の代表的な公的資金に「ひとり親家庭等医療費助成制度」
があります。離婚や死別でひとり親になった家庭や配偶者に思い障害がある家庭で、18歳未満の子どもがいる家庭の医療費の一部を負担する制度です。
国民健康保険か各種健康保険に加入していること、所得制限を超えていないことが受給条件になります。
自治体ごとに受給条件が違いますびで、詳細は各自治体の担当窓口に直接問い合わせましょう。
寡婦(夫)控除 は、配偶者と死別または離婚したあとで婚姻していないこと、扶養義務のある親族、子どもがいる人のに適用されます。適用基準は所得合計が500万円以下であること、扶養義務のある親族、子どもは所得額が38万円以下、ほかの人の控除対象配偶者や扶養親族になっていないことが条件となっています。
これらの制度以外にも、公営住宅への優先入居や仕事場や通学のための交通費の負担をしてくれるなど、自治体独自の援助もありますから住んでいる市区町村のwebを徹底的に調べましょう。
このような手続きは自発的に動かなければ誰も申請してくれません。
離婚の原因の一つに「性格の不一致」「価値観の違い」が挙げられます。熟年離婚の最大の原因も性格の不一致だといわれています。長年連れ添った夫婦がよく考えた末に離婚を決断するというのは仕方のないことだと思いますが、結婚して数年しか経っていない若い夫婦が性格の不一致を理由に離婚するのは、早まった決断になってしまうことがあります。
結婚はまったく違生活環境で育った二人が共同生活をはじめるのですから、価値観や生活習慣にの違いに戸惑うのは当然のことです。ただ、そのずれをそのまま放っておくとお互いの関係に大きな溝ができて「ずっとこのままの生活が続くのか…」と憂鬱な気持ちになってしまうことがあります。
度を超えた肉体的・精神的DVが日常茶飯事だったり、生活費を全く入れない、子どもに無関心、など本当に離婚した方がいい理由もありますが、生活習慣や価値観の違いは、きちんと話し合うことですり合わせできることも多いはずです。
離婚するまえにもう一度冷静になって話し合って、本当に離婚するほどの問題なのかよく考えてみましょう。