お金を借りる時には、多くの書類を提出しなければいけません。早く手続きを済ませたいのに、書類不足や不備で時間がかかってしまい、予定通りに進まないことも。
しかし、お金の貸し借りは大きなトラブルに発展することもあり、慎重に行う必要があります。スムーズな手続きを望むのであれば、必要書類を不足なく揃えるしかありません。
そこで、本記事では、お金を借りる時に慌てることのないように、どんな書類が必要なのかを借りる目的や相手別に解説していきます。また、家族や友人からお金を借りる場合の注意点も。ぜひ、借入申込の事前準備のご参考にして下さい。
お金を借りる時には必ず本人確認書類などの書類提出が求められます。どの書類も、この人にお金を貸しても大丈夫なのか?この人が本当に本人に違いないのか?など、確認すべきことを証明するために必要な書類です。
借りる目的や金額などにより必要となる書類は多少違いますが、どのような場合でも共通して必要な書類は本人確認書類。そして必要となるケースが多い収入証明書。この2つについて解説していきます。
本人確認書類はいかなる場合も必須です。顔写真がない書類の場合には、それを補う書類の提出も必要です。書類不足としてよくあるパターンなので、注意しておきましょう。
まず、本人確認書類として効力を発揮するものは、公的な機関によって発行・発給されているものです。社員証やジムの会員証など、限られた施設内での証明書は金融機関の本人確認書類としての効力はありません。
そもそも、本人確認書類とは、「本人であることを確認するための書類」です。借入申込書に記載した「住所・氏名・生年月日」と、公的な本人確認書類の3点が一致していることを確認し、本人であることを特定します。
以上のことを頭に入れておけば、本人確認書類としてどのようなものが有効なのかを判断しやすくなるでしょう。それでは具体的に使用できる書類の例を挙げていきます。
顔写真あり本人確認書類の例
顔写真付きの本人確認書類は1点でOKです。パスポートなど有効期限が定められているものは、期限内でなければ無効となるので注意しておきましょう。
顔写真なし本人確認書類の例
顔写真がついていない本人確認書類は、「保険証+住民票」などのように2点の書類提出が必要となります。また、追加の確認書類として、住所と氏名が確認できる公共料金や国民健康保険料や市民税等の納付領収書(6カ月以内)の呈示もOKです。
この点が、顔写真あり書類との違いです。顔写真がない確認書類は、顔写真の代わりにもう1点書類が必要であると頭に入れておきましょう。
ただし、法律としては一律ですが、金融機関によって取り扱いが異なる場合もあるため、借入申込先のホームページや窓口で事前に確認しましょう。
収入証明書の提出が必要となるのは以下のケースです。提出を求められた時に慌てないように確認しておきましょう。
上記の条件は貸金業法で定められたもので、主に消費者金融での借入の場合です。銀行での借入の場合は、銀行ごとに取り扱いがあり、借入額に関係なく収入を証明する書類の提出を求められることもあります。
いずれにしても、収入証明書の提出が必要となるケースは多いと認識しておきましょう。では、収入証明書とはどういうものを指すのかを解説していきます。
収入証明書類として使用可能な主な書類名は下記の通りです。
これらの書類でチェックされるのは、「収入・発行年度」です。書類は直近のものでなければいけません。会社員であれば源泉徴収票が最も身近で提出しやすい書類でしょう。
借入の目的が決まっているローンの申込には、資金使途を確認する書類が必須です。前項で述べてきた本人確認書類と収入証明書に加えて「目的のものを購入することが分かる書類」を提出します。具体的に見ていきましょう。
本人確認書類、収入証明書、資金使途確認書類(自動車購入の契約書など)
車の販売店に「支払いはカーローンを利用する」という旨を伝えれば、資金使途確認書類として使用できる書類を教えてもらえるでしょう。
本人確認書類、収入証明書、不動産売買関連書類(売買契約書・重要事項説明書・対象物件が分かるパンフレット等・住宅地図・建築確認済証・建築確認申請書・健康診断結果など)
住宅ローンの場合は、戸建てかマンションかなど建物によって必要書類が異なります。手続きに慣れている不動産会社の方が指示してくれることがほとんどです。
本人確認書類、収入証明書、資金使途確認書類(教育資金にお金を使うことがわかる、学校への支払い納付書やパンフレット等)
カードローン利用の目的は人によって異なります。主な借入理由としては生活費の補填などが想定されます。申込に必要な書類は、借入先や金額で異なるので、それぞれ確認していきましょう。
銀行カードローンでお金を借りる場合に必要な書類は、本人確認書類、収入証明書です。収入証明書は、少額借入の場合は不要としている銀行もあります。
いずれにしても、本人確認書類は必須です。収入証明書については、借入先に確認しましょう。
消費者金融のカードローンでお金を借りる場合に必要な書類は、本人確認書類、収入証明書です。50万円以下の借入であれば収入証明書は原則不要ですが、審査状況などによって必要となるケースもあります。
50万円を超える金額を借りる場合の必要な書類は、銀行・消費者金融ともに、本人確認書類、収入証明書です。前述していますが、消費者金融では貸金業法により50万円を超える貸付には、収入証明書の提出は必須です。
また、他社からも借入をしていて、今回の借入により総借入金額が100万円を超える場合にも50万円超の借入と同様の取り扱いとなります。
カードローンにおける50万円の貸付は1つの基準となっており、50万円を1円でも超えると審査が厳しくなると考えてください。金融機関によって取り扱いは異なるものの、50万円超の借入を希望する際には、本人確認書類だけでは申し込めないものと理解しておきましょう。
家族や友人などの個人からお金を借りる場合にも借用書の作成をおすすめします。家族だから、仲良しだから口頭でいいだろうと考えるかもしれませんが、その反対です。信頼関係を保つためにも、借用書は作成しておくべきなのです。
個人間での借用書の作成をすすめる最大の理由は、トラブル回避のためです。借りる方は、「必ず返す」と思っていても、貸した方は「返してもらえるのだろうか」と不安になっているかもしれません。
親子だから、兄弟だから、親友だからという安心感から、うっかりと返済期日を過ぎてしまう可能性もあります。借りた方は「うっかり」でも、貸した方は不信感を抱いてしまい、これを機に信頼関係が崩れてしまうことも。
借りる人は、貸す人に対して返済の意思を書面で伝えるという意味でも、借用書を作りましょう。
実は、借用書がないと返済の義務がなくなってしまいます。「お金を借りた」「お金を貸した」という確固たる証拠がないからです。
悪意がなくても、たしかに10万円を貸したのに、借りた方が5万円だと誤って記憶してしまうと、証拠がないのでどちらが正しい金額なのか証明できません。
逆も然りです。借りたのは5万円なのに、10万円を貸したのだと主張されたら?と想像すると恐ろしいですよね。万が一の事態を想定してみると、借用書の重要性を感じられるはずです。
借用書は作ったものの、必要な項目が抜け落ちていては意味がありません。最低限記入しておくべき項目をおさえておきましょう。
決まった書式はなく、用紙自体も大小、カラー紙など自由ですが、上記の項目は必ず記載しておきましょう。
借用書を作る際には、前項で挙げた項目以外にも記入方法等の注意事項があります。いずれもトラブル回避のため、借用書が無効とならないためにも確認しておいて下さい。
返済利率は上限があります。利息制限法という法律に則って決定しましょう。上限を超える利息を設定した場合、超えた部分の利息は無効となります。
借入額 | 上限額 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
借入金額は借用書の中でも重要な項目です。改ざん防止のためにも、漢数字で記入しましょう。改ざんとは、記入後に数字に線を追加するなどして別の数字に変えてしまうことです。
アラビア数字の場合、0に線を追加して6や9に改ざんしたり、3を8に変えるなど改ざんしやすいため、漢数字を使用しましょう。
「壱、弐、参、四、五、六、七、八、九、拾、萬」を使用します。10万円の場合は、「壱拾萬円」というように記入しましょう。この時、文字を挿入するスペースを空けないように、一文字ずつ詰めて記入するように注意して下さい。
また、漢数字で金額を記入する際には、前後に文字挿入を防ぐために「金」「也」を使用します。「金壱拾萬円也」というように、金と也で漢数字を挟みましょう。
借用書の氏名欄は、必ず自署で行ってください。その他の項目は、パソコンで作成しても問題ありませんが、署名欄は意思確認となるため、貸す人も借りる人も、必ず手書きで記入しましょう。
お金を借りるために必要な書類について解説してきました。会社や市役所で発行してもらわなければいけない収入証明書などの準備は、少々煩わしさを感じてしまうかもしれません。
そういった気持ちを利用して、「収入証明不要」「確認書類不要」などを謳った業者も散見されます。しかし、お金を借りるということは、信用してもらうことと同じです。書類が一切不要な業者は借りる側としても信用できない危険な業者である可能性大です。
絶対に利用しないで下さいね。安全にお金を借りるために書類が重要であることを念頭に、これからお金を借りる人は事前に準備をしておきましょう。