笑えるお金がないエピソードの裏に潜む笑えない事情とは

お金がないエピソードは友達や同僚の間でも盛り上がるネタのひとつですが、中にはあまりすごすぎてドン引きするエピソードもあります。笑ってすませられる程度ならいいのですが、毎月のようにお金がなくて聞く人がドン引きするようなエピソードがてんこ盛りの人は要注意です。

金欠エピソードには放っておくと将来大変なことになる生活習慣や心の病が隠れていることもあるのです。爆笑エピソードとともに無駄遣いと心の関係に目を向けてみましょう。

わかっちゃいるけどやめられない!これで私は金欠に

「お金がない」というのは大半の日本人の悩みのようです。ある調査によると、「自分はお金がない」と思うか?という問いに72%以上の人が「そう思う」と答えています。「思わない」という人は22%、どちらともいえないが64%でした。

では、「お金がない」原因に心当たりはあるかという問いには、なんと100%の人が「ある」と答えています。

これにお金をつかうと金欠になる!という意識はあるのに、ついつい…という人が多いようです。

いったい何にお金を使っているのでしょうか?回答は

  • 好きなアイドル、アニメのグッズ 
  • 友達との付き合い(食事、飲みなど)
  • 洋服
  • 旅行でついつい散財

といった回答が多数を占めました。その前に「そもそも収入が少ない」も多かったのですが…。

そこまでする?お金がないとき私はこれでしのぎました!

しかし、どんなにお金がなくても家賃、光熱費、クレジットカードなどの支払いは待ってはくれません。皆さん、一体どうやってピンチを切り抜けたのでしょうか?

  • スポーツクラブで暮らす。食事も入浴もそこですます
  • サンプル品や無料配布物を収拾
  • デポジット金500円欲しさにsuicaを払い戻した
  • 同僚との食事をカードで支払って現金を集めた
  • お昼ご飯をポテチなどスナック菓子ですます
  • 公共料金を止められるぎりぎりまで支払わなかった。しかしうっかりガスが止まってしまい、冬のさなかに水シャワー
  • ティッシュは1枚にはがして使う
  • 水だけでしのいだ
  • トイレの水飲む
  • 賞味期限切れのものを食べた
  • 友達のさそいすべてを断り、絶食を2週間続けた。10kgやせたが友人を失い栄養失調になった

…みなさん、なかなか壮絶なお金がないエピソードをお持ちのようです。

最後は「人とのつながり」人情に甘えてしのぐ上級編

強力な助っ人をみつけ、その人情に頼る高度なテクをもつ人もいるようです。

  • 電車賃がなくて駅員さんにお金を借りた。無料で乗せてくれたタクシーもあった
  • 親でも彼氏でも友達でも頼れるうちは頼る!
  • 食料品や日常品はほとんど年上の男性に買ってもらう
  • とにかく甘える! 家にあるもののほとんどは彼氏や友達が買ってくれた
  • バイトしていたパンやさんと惣菜店で売れ残りをもらう

世の中には甘え上手、世渡り上手な人がけっこういるようですね。女性が多いようですが、旦那さんを上手に操縦できるいい奥さん(?)になれそうです。

お金がないエピソードは人間である以上いくらでも湧いて出る

わかっちゃいるけど、無駄遣いをやめられない…。じつはこれは人間である以上仕方のないことです。

人間は合理的な考え方ができる生き物ですが、その合理性には限界があります。

人間には感情があるからです。

人間は物事を決めるときに2通りの方法を使います。一つは感情や直感、もう一つは理性、熟慮です。人の脳内ではこの二つのシステムがせめぎあいながら物事を決定しています。経済行動学では感情は像、理性は像使いにたとえられることがあります。

感情は理性よりも強く働くことがわかっています。像である感情が暴れだすと、像使いはなかなか抑え込むことができません。つまり、「これが欲しい!」と強く思い込むとその欲求を抑えるのは容易ではないということです。

無駄遣いの原因?「認知バイアス」「同調バイアス」

感情や直感で間違った考えや判断を認知バイアスといいます。認知バイアスにはいくつか種類があり、欲しいものをどうしても買わずにいられないというのは「現在バイアス」にあてはまります。将来的な価値より目先の利益を優先してしまうことをさします。

無駄遣いの原因になりやすいものには「同調バイアス」も挙げられます。「みんながもっている」「はやっている」から自分も欲しいとついつい手を伸ばしてしまうのです。また、「希少性バイアス」も無駄遣いの原因になります。

通販などでよく見かける限定商品や、タイムセールでつい買ってしまうのは希少性バイアスが働いてしまうからです。ただ、これらは人間が厳しい生存競争を生き抜くための進化の過程でどうしても必要な能力でもあったため、抑え込むのは難しいのです。

無駄遣いをやめるコツはバイアスを「知ること」

しかし、無駄遣いを抑える方法はあります。

自分に認知バイアスがある、ということを知るだけでも抑止力が働くようになるのです。

たとえば、通販で「オペレーターを増やしてお待ちしております!」というセリフを聞いても、載せられないように気を付けよう、と理性がはたらくようになり、無駄遣いを抑えることができるようになります。

感情に強く訴えるやり方も効果があります。「〇〇のために100万円ためる!」ときめ、それを手に入れた時の情景を絵や文章で残すと効果があります。ほかにも「足りない」という危機感を高めるやり方があります。少し前、老後資金に2000万円が足りなくなる、という発表が大きな反響をよんだのがいい例です。

ただ、やはり象さん(感情)をコントロールするのは並大抵ではありません。せっかく目標をたてても途中でくじけてしまう可能性も大いにあります。いちばんいいのは感情を消費せずお金を貯められるやり方をえらぶことです。

たとえば銀行の積立貯金で毎月強制的に定額を貯めるようにすれば感情的な苦痛を感じることはありません。投資信託の積み立て、つみたてNISAを選んでもいいでしょう。ただ、投資信託など投資商品を選ぶときは「もっと儲けたい」「もっと他にいい商品はないか」など認知バイアスが働いてしまうことがあるので注意が必要です。

金欠エピソードには依存症が隠れている可能性もある

お金がかかるのはわかっているのに、どうしてもやめられないものがあるなら、依存症の可能性もあります。
何に依存するかは人それぞれです。買い物依存症、ギャンブル依存症、アルコール依存症、ゲーム依存症、薬物依存症など数え上げればきりがありません。

依存症が厄介なのは、自分ではそうとは気づけないことです。依存症はストレスと関係があるといわれています。仕事や人間関係からくるストレスを買い物やお酒で紛らわしているうちに止められなくなってしまうのです。依存症からくる金欠は、やがて家族や友人に迷惑をかけることになります。

依存症の進行が進むと依存しているものを手に入れるために身近な人に平気でうそをついてお金をもらったり、最悪の場合、盗難など犯罪に走ってしまうこともあるのです。深刻な事態に陥てしまう前に解決する必要があります。

普段から強いストレスを感じているようであれば、環境を変える努力をしてみましょう。部署を変えてもらったり、場合によっては転職を考えた方がいいかもしれません。また、お金を自由に使える方法を強制的に断ってしまうのも効果的です。クレジットカードをいつも限度額いっぱいに使っているようであれば、思い切って解約してみましょう。

ほかにも、お金のかけずに楽しめる趣味を見つけることも効果があります。ジョギングやヨガなど体を動かすものであれば健康増進にもつながって一石二鳥です。

お金がないエピソード、軽く見ていると大変な状況に追い込まれていることに気づけないかもしれません。金欠病は症状が軽いうちに治療することを心がけてくださいね!