50代は子育ても一段落し、定年退職後の計画もそろそろ立てておきたい年代ですが、じつは下流老人予備軍が多い世代でもあることをご存じでしょうか?現代の50代はほかの世代に比べて貯蓄がしにくい年代だといわれています。
老後には2000万円の資金が必要とされていますが、お金がない50代はこの先、どうやって老後資金を貯めていけばよいのでしょうか?いますぐ行動して、少しでも多く資金を蓄えましょう。
長引く不景気の中、どの年代でも貯蓄がしにくい状態が何年も続いています。中でも特に顕著に減っているのが50代です。世帯主が50代で貯蓄がゼロ、という家庭が六世帯に1世帯あるという調査結果もあります。50代はなぜ貯蓄できなくなってしまったのでしょうか。
給与から所得税、住民税、年金保険料、健康保険料などを差し引いて残った額が手取りです。ここ数年、収入額は変わらないのに税金と社会保険料は上がる一方です。当然、それに応じて手取りは減り続けていくことになります。
現在の70代以上の高齢者が働き盛りだった時代では、利息が6~8%とという高金利預金はそれほど珍しくありませんでした。今の20代30代の若い世代には信じられない話かもしれませんが、ただ預けるだけで貯蓄が順調に増えていったという時代もあったのです。
それにひきかえ、現在の利息は0.1%にも満たない超低金利です。お金を増やしたければ自分で投資信託や債券を購入するしかありませんが、こういった金融商品は常に元本割れのリスクを抱えており、ただでさえ少ない貯蓄がさらに目減りしてしまう危険をはらんでいます。50代でそこまでのリスクを負うことはかなり危険です。
また、資産運用しようにもこの世代は資産運用の教育を充分に受けていません。多少余裕があってもどこで資産を運用していいか、何を買えばいいかなど基本的な知識も知らない人が多いのも事実です。
子どもの教育費も家計を圧迫する大きな原因の一つになっています。大学進学費用は年々高騰する一方です。1982年の授業料は私立大学は年間約41万円、国立大学は約22万円前後でした。しかし、現在では私立大学は90万円、国立大学でも54万円が相場となっています。
どちらも学費がこの40年近くで二倍以上増えていることになります。しかも給料はほとんど横ばいのまま、税金や社会保険料の負担は増していく一方ですから、ただでさえ苦しい家計が余計にひっ迫して老後の資金をためるどころではなくなってしまうのも頷けます。
数年前までローンは70歳を目安に完済するのが一般的でしたが、数年前から返済期限を80歳までに延長した住宅ローンが増えてきています。そのため、定年以降も20年近くローンを返済する家庭が増えてきています。
低金利のローンは毎月の返済がしやすいというメリットがある一方で、身の丈に合わない額を借りすぎてしまうというデメリットもあります。
また、低金利だからといって定年退職後も返済が続くローンを組んでしまうと、収入が年金しかないのに、住宅ローンの返済額は変わらない状態が20年近く続いてしまい、老後の生活に支障をきたす可能性も少なくありません。ただ、最近は銀行の審査ががきびしくなり、容易に借りることはできなくなっています。
50代は空前の好景気の中で青春を謳歌した世代です。親が高収入だったため、学生時代から自分の欲しいものや、旅行や遊びにも好きなだけお金を使えた時代でした。就職先も大企業から引く手あまたという夢のような時代だったのです。生まれた時から不景気の中で育った20代、30代とは対極にある価値観といえます。
この金銭感覚が50代になった現在でも抜けず、これと思ったものには集中的にお金を投下するため、なかなかお金が貯めることができない人が多いのもこの世代の特徴ともいわれています。
上記のような理由でお金のない50代がどんどん増えてきているといわれているのです。
収入が増えない上に税金やローンがのしかかるので、家計が苦しくなるのはわかりますが、このまま手をこまねいていては、どんどん困った状況においこまれていくことは目にみえています。
住宅ローンも返済計画を見直してできれば繰り上げ返済して利息を節約すれば、それを老後資金に充てることができます。また、子どもの教育費についても、早くから子どもと話し合い、子どもに「自分のこと」としてとらえさせることも重要です。
可能であれば、子どもにあまり負担にならない金額を学費の一部をアルバイトや奨学金で賄わせるのも一つの方法でしょう。
最近は社員の副業を認める企業も増えてきました。これからの時代、いつ倒産やリストラがあるかもわかりません。収入を会社の給料だけに頼るのは非常に危険といえます。
収入の入り口は複数あるほうが安全です。
50代にできる副業にはどんなものがあるのでしょうか?
最近は50代で副業OKという単発のバイトの募集もふえてきました。例えば警備員はつねに需要があり、ある程度年齢がいっても就業しやすいバイトの一つです。週一日くらいの短期のバイトであれば会社勤めをしながらでも続けやすいでしょう。
代行業には料理や掃除、車の運転、ベビーシッター、ペットの散歩などかなり多岐にわたっています。最近は空いた時間をUber Eatsの配達に充てる人も増えてきています。自転車を使えば運動にもなるということで最近人気がでてきているようです。ただし、くれぐれも事故には注意しましょう。
クラウドソーシングサービスに登録して、企業や個人からの仕事を受けて報酬をもらう方法です。仕事はライティング、翻訳、プログラム、データ入力などいろいろあります。実績を積み上げれば月数十万円稼ぐことも可能です。
そのほかにも、高度な技術や知識があれば専門学校などでの臨時講師などで稼ぐ方法もあります。小学生に大人気の職業YouTuberは若者がやるもの、と思われがちですが、魅力のあるコンテンツであれば50歳以上でも収入を得ることは不可能ではありません。
しかしこの不景気の中、不運にもリストラに遭い非正規になってしまった人、家族に恵まれず経済的に困窮している50代も多くいます。そういった人は、なるべく人とのつながりを大事にしましょう。
特に日本人の男性は退職後、高齢になるほど社会から孤立していくことが多いようです。たとえ困窮しても気にかけてくれる人がいればその状態から早く脱出できる可能性が高くなります。
かなり以前のことですが、ある資産家が50人の知り合い以上友達未満を作っておけば一生困らないという話をしていました。経済的に行き詰った場合は、50人の知り合いの家を泊まり歩いて、50人全員にお世話になったら、また最初の一人から泊まり歩けばいいということです。
あまり現実的な話ではないかもしれませんが、人とのつながりが一番のセイフティーネットだという例えなのでしょう。
また、老後資金2000万円を貯めるというのは現在の収入ではとても無理、という50代も少なくないはずです。その場合は体が元気なうちは働き続けるという選択を選ばざるをえません。
健康な体を保つため、バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。
50代はリタイア後の第二の人生を考えられる最後の時間でもあります。50代になると、「もう歳だから…」「いまからじゃ手遅れ」などと言う人もいるかもしれませんが、何もしないままでは収入は減っていくばかりです。
節約でも副業でも、今自分にできそうなことを一つでも多く考えて数百円でもいいので収入を得られるようにしましょう。ただし、おいしい儲け話にはくれぐれも注意して堅実な計画をたててくださいね。