ここ数年高騰する一方の教育費。子どもが高校生になると今までとは比べ物にならないお金がでていくことになります。私立に通う場合、保護者にはさらに大変な負担がかかりますが、親に高校に行かせるお金がないなかりに子どもの将来をつぶしてしまう事態だけは避けたいものです。
そんな親の負担を減らすため、2020年からは高校の実質無料化が本格的に始まりますが、制度をよく知らないと思わぬ出費に大慌てするかもしれません。高校無償化の内容をよく知って、学費の支払い期間を上手に乗り越えましょう。
高校無償化は正式には「高等学校等就学支援金制度」といいます。もとは少子化、世帯収入の減少などの社会事情を受けて、文部省によって2010年に施行されました。国公立・私立の高等学校に通う子どもがいる世帯に、年収に応じて支援金を給付します。4014年に一度改正され、2019年までは910万円未満の世帯に修学支援金が支給されてきました。
公立高校の上限額は世帯収入に関係なく、年間11万8,800円ですが、私立高校に通わせる場合は世帯収入で支給額に差があります。
世帯収入が590万円~910万円の場合、は私立に通わせても上限は11万8,800円です。
公立高校の学費は実質無料となりますが、私立高校に通わせる場合は授業料が公立よりかなり高額になり、修学支援金で賄えない分は家庭での負担を余儀なくされていました。ちなみに公立の3年間の学費の総額はおよそ122万円、私立は300万円となっています。
私立に通わせると、公立に比べて1年で60万円近い負担がかかることになります。年収が590万円以上の世帯に対しては、年収に応じて1.5倍~2.5倍加算されてきましたが、それでも子どもを私立高校へ通わせる家庭の経済的負担は解消しきれていませんでした。
しかし2020年4月からは高等学校等就学支援金制度が改正され、私立高校へ通う子どものいる家庭への支援が厚くなりました。世帯収入590万円未満の場合は支給額が39万6,000円まで引き上げられることになりました。
引き上げ支給額は2020年以前に入学した生徒も適用となります。ただ、収入が590万円~910万円の世帯への支給は今まで通りです。なお、910万円以上の世帯には給付されません。
給付額が上がるとはいえ、年収が300万円以下の家庭で私立高校に通わせるにはまだ負担が重いと言えます。その場合は、「高校生等奨学給付金」を合わせて申請するといいでしょう。
高校生等奨学給付金は、授業料いがいにかかる教育費の負担を軽減するための制度です。
授業料以外の教育費に当てはまるのは、
等です。 給付される金額は世帯収入・子どもの人数・就学形態によって違いがあります。
生活保護受給世帯【全日制等・通信制】
非課税世帯【全日制等】(第一子)
非課税世帯【全日制等】(第二子以降)
非課税世帯【通信制】
いずれも年額です。
高等学校等就学支援金の申請書は入学説明会や入学後に学校から配布されます。
なお、修学支援金は学校設置者が生徒に代わって受け取り、授業料に充てることになっています。
生徒や保護者が直接受け取ることはありません。
高校生等奨学給付金は都道府県によって対応が違います。文部省のwebに各都道府県の管轄部署のwebがあるので詳細はそちらで調べるましょう。
高校は公立・私立どちらへ通わせるにしても実質無償化でほっとした保護者の方も多いと思いますが、一時的にまとまった額のお金は必要になります。
修学支援金を学校が受け取るのは、申し込みが受理された月からの開始となるので、入学してから実際に支給されるまではそれぞれの家庭で一旦負担する必要があります。
つまり、支援金を受ける場合でも一時的にまとまった額のお金が必要になるのです。
入学時または学年が始まるまでに必要な金額は必ず用意しておきましょう。万が一、申請が遅れたらそれだけ支給が遅れることになります。また、私立は学校によって授業料に違いがあります。学費が支給額を上回ったら、差額は保護者が負担することになります。学費の総額もしっかり確認しておきましょう。
どうしてもお金がない場合は、早めに学校と自治体の管轄部署に相談しましょう。
相談内容によっては、入金を待ってくれる学校もありますし、本当に困窮している家庭であれば、自治体独自の支援を受けられる可能性もあります。
修学支援金額を決定するにあたり、収入状況は毎年必ず行われます。1年生は4月と7月、2年生、3年生は7月に審査があります。支給額は前年の6月頃に前年の所得に基づいて決定されますが、現在の収入状況と落差があることが考えられますので充分注意しましょう。
なお、祖父母など親戚と同居してそちらに収入がある場合でも、世帯収入として数えられることはありません。あくまでも保護者、親権保持者の収入の合計が基準となります。
私立の高校は授業料がどうしても高くなる傾向があります。家庭の事情でどうしても授業料の納付ができなくなった場合は、「私立高等学校等の授業料減免」制度を利用しましょう。
私立の学校は授業料の納付が困難になった家庭に対して授業料の軽減措置を行うことがあります。都道府県は私立高等学校等の授業料減免をその減免額の1/2までを補助するこ措置がとれます。
お金のない状態が一時的なもので家計が回復する見込みがあることを証明できる場合「教育一般貸付 (国の教育ローン)」も選択肢に入れてみましょう。
利子は付きますが、年利1.66%と銀行のカードローンや民間の教育ローンに比べてかなり低くなっています。
高校だけでなく、大学、専門学校など様々な学校の学費を借りることができます。
借入額の上限は350万円(条件によっては450万円まで可)で、受験前からの申し込みも可能です。審査は10日ほどかかるので、早めに申し込んでおきましょう。連帯保証人をつける必要がありますが、(公財)教育資金融資保証基金と契約して保証してもらうこともできますが、保証料が上乗せされます。返済は原則15年以内となっています。
高校進学は子どもの一生を左右します。お金ために子どもの本当に行きたい学校をあきらめさせるというのは申し訳ないですよね。教育にかかるお金は早いうちから最新の情報を集めて、対策をたてておきましょう。