貸金業法とは?カードローン利用の際に知っておきたいお金の法律

「貸金業法」をご存知でしょうか。

言葉だけは聞いたことがあるという方は多いかも知れません。「貸金業法」はカードローンの利用を考えている方には密接に関係してくる法律です。

貸金業法について知ることで、カードローンに関係のある法律や借入のルールについて理解することができます。

この記事ではカードローンを利用するなら知っておくべき「貸金業法」についての概要を改正内容を中心に解説していきます。

貸金業法とは

貸金業法とは、カードローンやキャッシングなどお金の借入れをおこなう際に消費者を守るための法律です。貸金業の適正化、金利の上限、過剰貸付の抑制、金利体系の適正化、ヤミ金融対策の強化などが主な内容です。

銀行は貸金業法の対象外

貸金業法はカードローンやクレジットカードのキャッシングなど消費者金融に対して適応される法律です。

銀行でもローンを組んだりさまざまな融資が受けられますが、銀行は貸金業法の対象外となります。

なぜなら、貸金業法はお金を貸す業務を行っており、財務局又は都道府県に登録をしている業者、すなわち貸金業者に対して適応される法律だからです。

貸金業法の改正は多重債務者の増加

貸金業法は1983年に公布された際の旧称は「貸金業の規制等に関する法律」でした。

しかし2007年の改正にともない「貸金業法」に変更されました。

改正の背景には「多重債務問題」があります。多重債務は社会問題にもなり多額の借金により返済が困難になる人々が後を絶たなかったからです。

そこで2010年に大幅な改正が行われ、改正貸金業法と呼ばれる現在の形になりました。

変更点を中心に改正貸金業法の概要を解説

大幅な変更がなされた2010年の改正内容を中心に貸金業法の概要を解説します。カードローンやキャッシングなどを利用するうえで大切なポイントのため覚えておくようにしましょう。

2010年の大きな変更点は以下の5つです。

  • 貸金業の適正化
  • 金利の上限
  • 過剰貸付の抑制
  • 金利体系の適正化
  • ヤミ金融対策の強化

貸金業の適正化

貸金業の適正化のポイントは以下の通りです。

  • 貸金業への参入条件を最低純資産額を5,000万円以上に引上げ
  • 貸金業務取扱主任者の資格保有の義務化
  • 行為規制

貸金業への参入条件を最低純資産額を5,000万円以上に引上げ

まず貸金業の適正化のため貸金業への参入条件を最低純資産額を5,000万円以上に引上げました。貸金業への参入のハードルを上げるためです。

貸金業務取扱主任者の資格保有の義務化

また貸金業に携わる場合には「貸金業務取扱主任者」という資格の保有が義務付けられています。貸金業に携わる際には従業員50人につき1人名が「貸金業務取扱主任者」という資格を保有している必要があります。

行為規制

行為規制の強化がおこなわれ、合計の元利負担額などを説明した書面の事前交付の義務付け、貸金業者が借り手等の自殺により保険金が支払われる保険契約の締結を禁止しました。 

また執拗な取り立ても禁止されており、1日に何度も催促の電話がかかってくることもなくなりました。

業務改善命令の導入により規制違反に対して対処するため、登録取消や業務停止に加えて業務改善命令の導入が可能になりました。

過剰貸付の抑制

過剰貸付の抑制のポイント

  • 指定信用情報機関制度の創設
  • 総量規制の導入

指定信用情報機関制度の創設

指定信用情報機関制度の創設 指定信用情報機関制度を導入したことで、貸金業者が借り手の総借入残高を把握できる仕組みが整備されました。

総量規制の導入

総量規制とは消費者の借りすぎ、消費者金融など貸付側の過剰な貸付けを防ぐためのものです。

具体的には「借入金額の上限は年収の3分の1まで」と定められています

そのため自分がいくらまで借入ができるかどうかは年収から求めることができます。

例えば、年収が180万円の場合は借入れできる金額は60万円になります。

消費者の収入に応じて借入れできる金額を制限することで返済できないような無理な借入れを防ぐことができるのです。

また複数の消費者金融からお金を借りている場合は、借入金額の上限は借入額の合計金額になります。

例えば、借入の上限が60万円でA社からすでに40万円を借入している場合、新たにB社から借りられる金額は20万円ということです。

複数の金融機関を利用する場合は借入金額に注意しましょう。

金利体系の適正化

金利体系の適正化のポイント

  • 上限金利の引き下げ
  • みなし弁済制度の廃止

上限金利の引き下げ

上限金利の引下げがおこなわれました。

消費者金融からお金を借りると「金利」が発生します。その金利の上限を決めるのが上限金利です。

上限金利は貸金業法以外に「上限を超えた金利が無効となる利息制限法」と「刑事罰に関わる上限金利を定めた出資法」の2つの法律が関わってきます。

出資法により金利の上限が29.2%から20%に引き下げられました。

また上限金利は借入金額によって年15〜20%と決められています。

具体的には

  • 借入金額が10万円未満:年20%
  • 借入金額が10万円以上から100万円未満:年18%
  • 借入金額が100万円以上:年15%

みなし弁済制度の廃止

みなし弁済制度とは、貸金業者が利息制限法所定の制限利率を超える利率の利息を受領した場合でも、旧貸金業法43条所定の要件を満たす場合には,有効な利息の弁済があったものとみなすという制度です。

今まではみなし弁済制度により上限金利を超えるグレー金利が保護されていました。

みなし弁済制度が廃止されたことで、利息制限法の上限金利で計算をし直すことにより支払いすぎていた過払い金を返金請求ができるケースもあります。

ヤミ金融対策の強化

ヤミ金融対策の強化のポイント

違反した場合の罰則強化

違反した際の罰則が懲役5年から10年に変更されました。

ヤミ金は財務局への登録を行わずに営業をしています。貸金業法の改正により登録せずに営業を行っている業者への罰則が強化されました。

消費者の個人情報を保護することと、ヤミ金の違法営業を取り締まる目的があります。

違反した場合は10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金、またはこれら両方が科せられます。

貸金業法の改正により違法なヤミ金は減少し、消費者が利用しやすい環境が整ってきています。

ヤミ金は違法な業態です。絶対に利用しないようにしましょう。

貸金業法は消費者を守るための法律

今回は貸金業法について解説しました。

貸金業法は

  • 貸金業の適正化
  • 金利の上限
  • 過剰貸付の抑制
  • 金利体系の適正化
  • ヤミ金融対策の強化

など消費者金融から借入をおこなう消費者を保護するための法律です。無理な借入による多重債務者の増加を防ぐ役割があります。

カードローンを利用する際に覚えておきたいポイントは2つ

  • 総量規制:借入金額の上限は年収の3分の1
  • 上限金利:金利の上限は年利20%(借入金額によって15〜20%)

貸金業法の改正により、以前より消費者は安全に借入ができるようになりました。

しかし、貸金業法によって守られているとはいえ借入は計画的にする必要があります。

消費者金融でお金を借りる際は貸金業法を理解して、返済のことまで考えて利用するようにしましょう。