親が定年退職したものの、退職金が大幅に減額されていたことが発覚!長引く不景気で貯金もあまりできていない様子。収入が大幅に減るにも関わらず、歳をとると体調を崩しやすくなり、医療費もかさんできます。場合によっては施設に入所する可能性も。お金がない親の老後は心配がつきません。
そんな親をもつあなたに今できることは何なのか?いざというときどう対処すればいいのか?まずは現実をしっかり受け入れないと対処法も見つかりません。うやむやにせず、今から対処法を考えておきましょう。
老後の生活費が足りない理由はいくつかありますが、以下のようなことが大きな原因になっていると考えられます。
定年退職すると、月に必ず数十万円入っていた定期収入が消え、収入は年金のみになります。大手企業の社員で高給取りであれば年金もそれなりにもらえるかもしれませんが、退職前の収入が低かったり、退職金のない会社に勤めていた、自営業で年金が国民年金のみなど今後の生活が不安なケースもあるはずです。
また、ここ数年は物価が上昇したばかりでなく消費税も8%から10%に引き上げられましたから、収入は少なくなるのに支出は増える一方です。足りなくなる分は貯金を切りくずしながら生活することになりますが、貯金が満足にできていなければ生活は成り立たなくなってしまいます。
歳をとると、体調を崩しやすくなり病院通いが増えるため、医療費がかさんできます。自力での生活が困難になるほど弱ってしまったら介護も必要になってきます。どのような介護を受けるかでも違ってきますが、今までのより支出が多くなることは避けられません。医療費・介護費の増加が親の生活を破綻させてしまう可能性があります。
定年退職すると収入額が大幅に減っているのにも関わらず、現役時代と同じような生活をして退職金や貯金をあっというまに食いつぶしてしまうというケースもあります。人間は生活習慣を簡単に変えることができません。
最近は100歳を超えてもまだ元気なお年寄りが増えてきています。それはすばらしいことであはありますが、同時に出ていくお金も多くなるということです。先述したように働いていたころと同じような生活を続けていると、たくわえがすぐに底をついてしまいます。
ある意味、長生きは老後破綻につながる最大のリスクともいえるのです。
すこし勇気のいる決断ですが、まずは親の収入と支出のバランスを細かくチェックしましょう。
日本はたとえ親子でもお金の話はタブーとされる雰囲気がありますが、親自身に生活力がないと子どもが生活を支えることになり、親が長生きして援助が長期化すると子どもの生活を圧迫してきます。
現在の収入はどれくらいあるのか?貯金はいくらあるのか?生命保険に加入しているか?家のローンの返済は完了しているか?固定資産税などどれくらいの税金を払っているのか?調べることは山のようにあります。
また、生活費を置いてある口座のほかにへそくりなどを別の口座に貯めていないかなども確認しましょう。高齢になると自分の財産の全額を把握しきれていない可能性もあります。
日本人は成人すると最低1つくらいは生命保険に入るのが一般的です。団塊の世代になると複数の保険に加入している人もめずらしくありません。一つ一つチェックして、無駄なものあがあれば解約してもらいましょう。掛け捨ての保険でなければ、解約返戻金がもどっで来るので老後費用の足しにすることができます。
ローンが残っていたなら、早急に完済する手立てを考える必要があります。返済が長引けばそれだけ利息を余計に支払うことになり、支出がいつまでたっても減らないからです。返済ができない場合は自己破産なども考えた方がいいかもしれません。
どうやら老後資金が足りなそうだと思っても、安易な援助は危険です。先述した通り老後は何年続くかわかりません。そこに子供の教育費や家のローンも重なってくるため、子どもが長年にわたって援助し続けると、今度は子どもの貯金が底をついてしまいます。
実際、親の介護費用や入院費を長年にわたって援助し続けたため、夫婦そろって70歳近くになっても貯金ができず、いまだに働き続けている家庭もたくさんあります。
親の医療費や介護費用がかさむようであれば、「高額医療」「高額介護合算制度」を利用するようにしましょう。
高額療養費とは病気やケガで医療費が高額になってしまった場合、その一部を負担してもらえる制度です。医療費は上限制度が設けられています。この制度を利用すればひと月の医療費が上限を超えてしまうと、超えてしまった分の医療費が戻ってきます。
1つの医療機関の支払い額が21,000円以上になると利用可能になります。同じ医療機関でもかかる科がちがう場合、たとえば歯科と内科であればわけて計算します。入院と通院も分けて計算します。70歳以上はこれらに関係なく自己負担額をすべて合算して申請できます。親の医療費、介護費があまりに高額になるようであればぜひ利用しましょう。
最近は医療や食生活の向上で老人の健康状態が昔にくらべるとかなり良くなり、定年退職しても現役世代に負けないくらいの体力を維持している人も少なくありません。
もし親が健康に問題を抱えていないなら、アルバイトやパートなどに出てもらって少額でもいいので毎月の収入を確保してもらうようにしましょう。
最近は人手不足で年齢不問の求人も増えています。専門的な技術を持っていればさらに働く選択肢は広がるでしょう。また、外に出て働くことは社会的孤立を防ぐことにもなりますし、適度な刺激を受けるので心身の安定にもつながります。
子どもには子どもの、親には親の生活があります。双方ともにできるだけ自立してぎりぎりまで干渉を避ける方が親子の関係が良好に保てます。
生活保護は最低限の生活を保障するために制度です。働いて収入が得られない、貯蓄などの資産がない、親戚縁者の援助が受けられないなど自立した生活が困難な人が受給することができます。
受給するには細かい条件をすべてクリアする必要があり、手続きが容易ではありませんが、この手続きは親本人にしてもらう必要があります。
子どもが一緒に行くと援助を求められてなかなか受給を認めてもらえなくなるからです。
とはいえ、法律上はたとえ子どもでも親の介護は子どもがみる必要はありません。これは子どもの人数に関係ありません。子どもには援助の意志確認の通知が届きますが、扶養できないと回答しても違法にはなりませんし、なんの咎めもうけることはないのです。また、生活保護の中には「介護扶助」もありますから、介護費用の負担もなくなります。
どんなに頑張っても、どうしても援助が必要となった場合は必ず子どもの生活に支障が出ない範囲での援助にとどめましょう。兄弟がいる場合は、援助の負担は極力平等になるように話し合いましょう。
誰か一人に大きな負担をかけてしまうと、関係に大きな溝ができてしまいます。
すでに援助を始めている場合は、親に請われても援助額を安易に増やさないようにしましょう。なるべく出費を抑えて自立した生活をしてもらうように言い聞かせてください。場合によっては誰かが同居することにかもしれませんが、その場合でも同居する兄弟姉妹家族の精神的・経済的負担がなるべく軽くなるようほかの兄弟が気を配る必要があります。
お金の問題はたとえ親兄弟であっても関係に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。子どものほうからなかなか言いづらい話ではありますが、子どもから積極的に介入していかなければ事態はますます悪くなるばかりです。
財産狙いかと親から疑われるケースもあり、一時的につらい思いをするかもしれませんがお互いの今後のためにがんばってください。親の経済状況を調べるときは、極力感情をさしはさまず、淡々と進めるようにしましょう。