年金生活者でもお金を借りたい!借りるベストな方法とは

長年の会社員生活をリタイアして、あとはのんびりした老後を…。というのは昔の話。年金支給額は下がり続ける一方、支給開始年齢は先延ばしにされ、とても安心できる状況ではありません。歳をとったら体調を崩しやすくなり、いつ入院してもおかしくありません。

そうなると気になるのはやっぱりお金。場合によってはどこかから借りなくてはいけないかも…。かといって収入が年金のみでカードローンに頼るのはは現実的ではないし…。

大丈夫です!年金受給者でもお金を借りる方法はちゃんとあります。もしもの時に備えて低金利で安心して借りられる方法を知っておきましょう。

収入が年金だけではカードローンは契約できない!

まず、年金しか収入がない場合はカードローンの契約はできません。

カードローンを契約する条件の一つとして「安定した収入があること」が挙げられますが、ここでいう収入とは労働して得た賃金のことです。

したがって、年金は収入とはみなされません。

特に、合法的な経営をしている消費者金融は絶対に契約できません。なぜかというと、貸金業法で禁止されているからです。2004年に「違法年金担保融資対策法」が施行され、収入源が年金受給のみの人には貸付ができなくなりました。この法が施行されたのは年金を担保として違法な高利でお金を貸しつける、いわゆるブラック金融を取り締まる目的があります。

どうしてもお金が必要なら国の貸付制度を利用するのが最善

しかし、歳をとると急な入院や治療などで一時的に多額の出費を強いられることがあります。そういったときに年金受給者がお金を借りる一番現実的な方法は年金を担保にお金を借りられる公的貸付制度を利用することです。この制度には

  • 年金担保貸付制度(年金前借り制度)
  • 生活福祉資金貸付制度

の二種類があります。年金担保貸付制度は、独立行政法人の福祉医療機構が運営する年金受給者のみを対象とした融資制度です。近い将来もらう年金から返済するので、年金前借り制度ともよばれています。

年金担保制度が利用できるのは

  • 介護用品の購入
  • 医療費の支払い
  • 冠婚葬祭
  • 住宅の改修

などです。

融資金額は10万円~200万円ですが年金受給額の80%までという上限があります。借りられる額は用途によっても違ってくるので、申し込む前に確認しましょう。利息は年2.8%です。銀行のカードローンの利息が最低でも5%前後ですから、かなりの低金利といえるでしょう。

利用条件は、年金受給者であり、以下の年金証書を持っていることが必須となります。

  • 国民年金・厚生年金保険年金証書
  • 国民年金証書
  • 厚生年金保険年金証書
  • 船員保険年金証書
  • 労働者災害補償保険年金証書

この制度は年金受給者の生活を補助するための制度なので、60歳を過ぎて定年退職や失業でお金を必要としている人は対象になりません。

また、年金受給者でも以下に当てはまる人は制度を利用することができないので注意が必要です。

  • 生活保護を受けている
  • 生活保護が終了後5年未満である
  • 特別支給の老齢厚生年金を受給していて、65歳時の年金決定手続期間中である
  • 現状届、または定期報告書が未提出である
  • 年金の支給が、全額停止されている
  • 同一の年金ですでに借入残高がある人
  • 反社会的勢力に属している、または関係を持っている

年金担保貸付制度の申し込みの流れ

年金担保制度の申し込みは独立行政法人福祉医療機構代理店となっている金融機関で行っています。意外ですが、ゆうちょ銀行、農協、ろうきんは代理店になっていません。

年金担保貸付制度を利用する場合は

1. 福祉医療機構年金貸付課か対象の金融機関に相談する
2. 取り扱い金融機関で申し込み手続きをする。年金を受け取る口座が取り扱い金融機関でない場合は、受取口座を変更する必要があります。
3.福祉医療機構で審査に入ります。審査には4~5週間ほどかかかるので、申し込む場合は時間に余裕をもって申し込みましょう。
4. 融資が決定すると、電話で連絡が入り融資開始日などの説明をされます。
5. 融資開始日に口座に貸付金が振り込まれます

返済は年金支給機関から福祉医療機構に直接年金が支払われ、その後返済額分を差し引いた額が口座に振り込まれます。

借入の際は連帯保証人をつけることになりますが、公益財団法人年金融資福祉サービスと契約し、保証料を支払えば連帯保証人は必要ありません。保証料は2.8%で、返済時に自動的に差し引かれます。借入人が返済途中で死亡した場合は、連帯保証人が返済を継続することになります。保証料を払っていた場合は公益財団法人年金融資福祉サービスが代わりに返済します。

ただ、年金担保融資制度は、令和4年3月末に制度が廃止されることが決定しています。

終了後は各地域の自立支援機関で相談して、支援の相談をすることになります。

生活福祉資金貸付制度ならさらに低金利で借り入れできる

生活福祉資金貸付制度は大きくわけて4種類あります。

総合支援資金…失業中であったり、所得が著しく低いなど経済的に困窮している人の生活の立て直しの支援が目的です。

  • 福祉資金…障碍者や高齢者のいる家庭に、介護に必要な資金を支援するための制度です。
  • 教育支援資金…子どもの教育にかかる費用の支払いが困難な家庭を支えるのが目的です。
  • 不動産担保型生活資金…現在住んでいる住宅やマンションを担保に、生活資金を貸す制度です。

この4種類の中でも目的に合わせて項目がこまかく分かれています。年金受給者が利用しやすいのは福祉資金の「福祉費」「緊急小口資金」ではないでしょうか。

福祉費は災害時の緊急支援として必要なお金を貸し付けるほか、介護用品購入の補助などにも利用できます。緊急小口資金は、医療費の支払いが困難である場合や盗難などの犯罪被害、災害に遭ったことにより生活が困窮した場合に貸し付けられる費用です。

福祉費は貸付上限が580万円までです。原則無利子ですが保証人をたてる必要があります。ただし、1.5%の利子を払えば保証人は必要ありません。返済期間は貸付金額に応じて3年~20年となっています。

緊急小口資金の貸付上限額は10万円までです。連帯保証人はいかなる場合も不要で利子もありません。返済期間は1年です。

福祉費を利用する場合は各市町村の社会福祉協議会の審査を受けることになります。その後、さらに都道府県の社会福祉協議会が再調査を行うので、借入までにかなり時間がかかるのが難点です。だいたい1か月近くかかると見たほうがいいでしょう。一方、緊急小口資金は1週間程度で融資の合否がわかります。

条件によっては融資をうけられないこともあります。すでに生活保護を受けている場合は生活福祉資金貸付制度を利用することはできません。また、返済の見込めない多重債務者や住所不定の人は利用することができません。

申し込みは生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関か各市区町村の社会福祉協議会で手続きする必要があります。どこが担当しているのかは各都道府県や市区町村のHPで調べてみましょう。

手続きの際は

  • 世帯の状況がわかる書類(住民票など)
  • など本人確認ができる書類(運転免許証・健康保険証)
  • 所得がわかる書類(給与明細・源泉徴収票・通帳の写し)
  • 税金の納付状況がわかる書類
  • 債務の状況がわかる書類
  • 連帯保証人の所得がわかる書類(給与明細・源泉徴収票・通帳の写しなど)

が必要になります。さらにこれ以外にも必要に応じて提出を求められる書類は多数あります。手続き前にしっかり確認して不備のないようにしておきましょう。

ゆうちょ銀行の緒金を担保にお金を借りる方法とは

ゆうちょ銀行に貯金がある場合はそれを担保にお金を借りることも可能です。

ゆうちょ銀行には、定額預金を担保にしてお金を借りることができる自動貸付制度があります。

貸付上限額は200万円~300万円までで、金利は0.25%~1.70%です。すでにゆうちょに預けてある貯金や国債が担保なので審査はありません。貯金を担保にする場合は、貯金額の90%まで借りることができます。(上限300万円)

借入できる期間は貸付日から2年間です。返済は貸付金額と金利を口座に戻せば完了します。貯金のほかにもゆうちょ銀行か郵便局で購入した国債があれば、それを担保としてお金を借りることもできます。

国債の場合は上限80%、200万円まで借りることができます。ただし、借入期間は1年間と短くなっているので注意が必要です。

申し込みはゆうちょ銀行か郵便局の窓口で行います。保有している定額貯金や国債がそのまま担保になるので審査も必要なくスムーズにお金を借りることができます。

年金受給者が一般の金融機関でお金を借りるのは至難の業と言えます。さらに世情にうといお年寄りの弱みに付け込んだ悪質違法金融もかなり横行しています。一度引っかかると安らかな老後はとても望めません。年金だけでお金をかす金融業者は100%違法業者です。

年金受給者がお金の相談をするなら、まずは公的窓口に相談するのが安全といえるでしょう。