自営業者でお金を借りるならどこが一番?公的支援も活用しよう

自営業者は法人に比べるとお金を借りるのが不利と言われています。銀行でようやく融資を取り付けても、借入金額が低かったり、利息が思いのほか高くてその後の事業計画がくるってしまうことも。

自営業者の資金繰りが少しでも楽になるような借り方、借入先を調べてみました。今の自分に合った資金調達方法がどれなのか探してみましょう。

自営業者がお金を借りる方法は様々。一番借りやすいのは?

個人事業主がお金をかりる場合、事業用資金として使うのか、生活費などに使うのかによって申し込み先が変わります。

事業用資金として借りるならば、

  • 日本政策金融公庫
  • 中小企業制度融資
  • 銀行や信用金庫
  • ビジネスローン
  • カードローン
  • フリーローン
  • ファクタリング

などが挙げられます。生活費など個人的な使用目的は

  • カードローン
  • フリーローン
  • クレジットカードのキャッシング

などになります。

個人事業主は確定申告に備えて事業用資金と個人的使用でお金の使用目的をきちんと分ける必要があります。

借りる前に利用目的が事業用資金なのか、個人的使用なのかを明確にしましょう。

一般のカードローン、フリーローンは事業用資金としての利用を禁止していることがほとんどです。これらを事業用資金に転用したことがばれると、使用停止にされてしまうことがあるので注意が必要です。

事業用資金を借りられる金融機関のメリットデメリットを知っておこう

事業用資金を借りられる金融機関には、それぞれメリット・デメリットがあります。今の自分にとって最適と思われるものをじっくりと選びましょう。

日本政策金融公庫

日本政策金融公庫は政府が出資している政策金融機関です。事業はいくつかに分かれていて、個人事業主への融資は国民生活事業が担当しています。

貸付限度額は原則4,800万円ですが、条件によっては7,200万円までの貸付が認められています。融資期間は事業資金の種類によって違いがあります。

  • 設備資金:10年以内(据置期間:2年)
  • 特定設備資金:20年以内(据置期間:2年)
  • 運転資金:7年以内(据置期間:1年)

金利は審査次第ですが、0.01~9.99%と銀行から借りることを考えるとかなり低めにおさえられています。

ただし、その分審査は厳しく時間がかかります。

まず、申し込んでから面接を受けるまで1~2週間ほどかかります。面接を受けてからの審査に入りますが、そこでまた1~2週間ほどかかります。無事に融資が決定して実際にお金が振り込まれるまでにまた1週間ほど時間がかかります。

とくに、初めて利用する場合は実際の融資までに1か月ほどかかることも珍しくありません。充分時間にゆとりをもって申込むようにしましょう。また、原則保証人は必要ありませんが、条件によっては保証人をたてるよう要求されることもあります。

中小企業制度融資

中小企業制度融資は各都道府県、指定金融機関、信用保証協会など異なる金融機関が共同で行っています。自治体が金融機関に利子を補給することにより、低金利での貸付を実現しています。

融資限度額は都道府県によって違いがあるので、自分の住んでいる都道府県の融資限度額がいくらなのかあらかじめ調べておきましょう。利息、返済期間も都道府県で違いがあります。

こちらも審査から融資まではかなりの時間がかかり、1か月~1.5か月近くかかります。しかし、その分利息はかなり低くなっています。保証人も必要ありません。

銀行や信用金庫

個人事業主が銀行や信用金庫から事業資金の融資を受けるのは、一般企業に比べハードルが高く、借りられたとしても利息が高くなることがほとんどです。

が、信用保証期間を通さない「プロパー融資」を利用すると、保証料がいらないので経費の節約につながります。

また、プロパー融資は限度額が設定されておらず、借入限度額は審査次第です。数年にわたって安定した経営をしている個人事業主であれば、高額な借入も不可能ではありません。融資期間も審査で違ってきます。

その分、銀行も審査には慎重になりますから、審査は2~3週間ほどかかります。
プロパー融資の場合は、限度額が定められていません。銀行が審査を行い、返済可能だと判断された額まで利用することができます。

ただ、審査はとても厳しく、初めて事業を行う自営業者にはおすすめできません。

ビジネスローン

銀行だけでなく消費者金融でも借りることができます。カードローンのビジネス版といった感じで、銀行や信用金庫の融資ほど準備に時間がかかりません。審査から融資までにかかる時間は1週間ほどで、保証人は不要です。3年ほどの業績があり、安定した収益を上げている人が対象になります。

初めての事業をする人には向いていません。

早く借りられるので急いで事業資金が必要な場合には便利ですが、その分金利は高めになります。また、借入限度額が低く、借入可能額の上限は300万円程度となっていますが、不動産などの担保がある場合は1000万円以上借りられることもあります。

緊急に事業資金が必要で、確実に返済の見通しが立てられる場合の資金調達に向いています。

カードローン

基本的に事業用途への利用は禁止されていますが、ごく一部のカードローンは事業用途に利用することが認められています。運が良ければ即日融資が受けられることもあります。安定した収入があれば、ほぼ誰でも借りることができますが、月収の変動が激しい自営業者は収入が安定していないとみなされ、利息が高くなることがあり注意が必要です。

事業用途に使用禁止のカードローンを事業資金に流用することがばれると、使用停止になることもあるので注意しましょう。

フリーローン

カードローンとほぼ同じで、事業用途利用不可のことが多いですが、事業資金としての利用が認められているフリーローンもあります。カードローンと違い、借りるたびに審査を受ける必要があります。

そのため、自営業者は借りる時期により借りられる金額、条件に差が出ることがあります。金利も高めになるので多額の借入はお勧めできません。カードローン同様、短期間で返済ができる場合のつなぎとして利用したほうがいいでしょう。

ファクタリング

売掛金を担保にお金を借りる方法です。日本ではあまりなじみのない資金調達法ですが、確実に売り上げを確保でき、短期間で返済できる場合はおすすめです。海外ではポピュラーな資金調達法です。

最短即日で融資が可能です。借入限度額は業者、売掛金の額によって変わってきます。融資期間は1か月前後と短く、すぐ融資が受けられる分手数料も高くなります。返済できるめどがあれば、債務超過、税金の滞納があっても利用可能ですが、つなぎと考えたほうがいいでしょう。

準備は入念に。自営業者がお金を借りるために必要な書類とは

政府や自治体から借りる場合は金利が低い分、審査が厳しく時間がかかり、提出する書類も多くなります。一方、民間企業のカードローンやビジネスローンは審査が速く、提出する書類もそれほど多くありませんが、借入限度額が低い、金利が高いなどのデメリットがあります。

たとえば日本政策金融公庫の普通貸付の審査を受ける際に必要な書類は以下のようになります。

  • 借入申込書
  • 最近2期分の申告決算書
  • 創業計画書または企業概要書
  • 月別収支計画書
  • 中小企業制度融資
  • 信用保証委託申込書
  • 信用保証委託契約書
  • 個人情報の取扱いに関する同意書
  • 印鑑証明書
  • 2期分の申告決算書(直近のものに限る)
  • 納税証明書
  • 創業計画書

銀行や信用金庫の融資の場合は以下のようになります。

  • 本人確認書類
  • 2期分の税務申告書(直近のもの)
  • 決算報告書
  • 勘定科目内訳明細
  • 納税証明書

ビジネスローン

  • 本人確認書類
  • 収入証明書類
  • 資金計画書
  • 事業計画書
  • 決算報告書

カードローン

  • 本人確認書類
  • 2期分の税務申告書(直近のもの)
  • 事業内容確認書

フリーローン

  • 本人確認書類
  • 2期分の税務申告書(直近のもの)
  • 事業内容確認書

ファクタリング

  • 確定申告書
  • 3期分の決算報告書(直近のもの)
  • 売掛企業との基本契約書
  • 事業の説明資料
  • 売掛金証明書類
  • 納税証明書

民間の金融機関は、申し込む人の経済状況によっては上記以外の書類の提出を求められることもあります。

貸す側が一番重要視するのは「お金を返せるだけの根拠のある事業内容か」です。貸し倒れは貸す側の最大のリスクです。とくに低金利で貸し付ける公的機関に近い融資は事業内容をしっかり見られます。審査に時間がかかるのはそのためです。

民間と違い、儲けより補助を優先するための制度ではありますが、お金が返ってこないと事業の継続が困難になり、次に必要な人のための融資ができなくなってしまいます。真面目に事業をしたい人の足を引っ張らないように、事業計画、返済計画は綿密に立ててください。

無理に借金せず国の助成金なども利用して上手な資金調達を

初めて事業をする自営業者はまだ信用がなく、資金調達がなかなかうまくいきません。その場合は無理をして高金利なカードローンや消費者金融を利用はせずに、国や自治体の補助金や助成金を受けることを検討してみましょう。

補助金や助成金であれば返済の必要はありませんから、資金繰りがかなり楽になります。補助金や助成金の内容は自治体によって違います。自分から積極的に調べなければ利用することができません。

手続き方法も自治体それぞれです。業界が設立したNPOのwebにはすでに同じような事業を起こしている人の体験談が載っていることもありますから、そちらもヒントにしてみましょう。

無理のない資金調達をして、長く人に喜ばれる事業を目指してくださいね。