お金がない高齢者にならないために!今からできることは?

皆さんがご存知のように、今の日本は出生率がどんどん低下し、子供の数が減っています。このため、私たちが高齢者になる頃には年金もずいぶん少なくなっているのでは…と老後の心配をしている方も多いことでしょう。

少し前にニュースにもなったように、老後生活していくためにはおよそ3,000万円という多額のお金が必要とも言われており、老後2,000万円問題など不安は募る一方ですよね。

実際今でもお金がなくて老人ホームに入れない、また介護のためのお金が足りないと言った高齢者の方も多くいらっしゃいます。

そこで今回の記事では、そのような状態にならないために、どんなことを備えておけば良いのか?ということについて紹介していきます。

老後にお金がなくて困る人と困らない人の差は?

老後にお金がなくて「下流老人」や「老後破産」などと言われ悩んでいる人がいる一方で、夫婦で旅行に行くなど、老後を素敵に明るく楽しんでいる方々もいらっしゃいます。

このような高齢者の差はいったいどんなところから生まれるのでしょうか?老後にお金で困るような方は、元気に働いていた現役時代に以下のような状態だったことが多いようです。

  • 老後の貯蓄についてノープランである
  • 勤務している会社に退職金制度などがない
  • 家を買うのが遅く定年後に住宅ローンが残る
  • 歳を取ってから子供ができた
  • 教育費にお金がかかり過ぎた
  • 妻と夫が個々に家計を管理している
  • 親が貧乏なので老後の面倒を見る必要がある

老後の貯蓄についてノープラン、という方は意外と多く、また老後貧乏になってしまう方の一番の原因でもあります。

このような方は「老後なんて気にしても仕方ない、年金もあるんだし大丈夫、なんとかなるさ」という楽天的でポジティブな考えの方が多いのですが、意外と「なんとかならない」ことも多いものです。

「自分の老後、大丈夫かな?」と思ったら、その時がチャンスです。老後のために、決まった額を毎月貯金していくようにしましょう。

確実に貯金するためには、毎月利用した残りを貯金するよりも、使う前に一定額を貯金してしまって残った金額でやりくりする方法がおすすめです。

「毎月貯金なんてできないよー」という方は、老後に備えられる貯蓄性のある保険に加入して、強制的に毎月自動振替でお金が貯められるようなシステムにしてみましょう。

また「いくら貯めれば良いのかよくわからない」というような方も保険に入れば、それを機会にファイナンシャルプランナーなどに相談することもできるので安心です。

ちなみに、老後の貯蓄ができる保険には、以下のような商品が挙げられますが、保険に入る以外にも「老後も働く」という考えの方もいらっしゃいます。

しかしながら「老後に働く」のは、必ずしもそうできる確証がないため、確実にお金を得られる方法とは言えません…やはり貯蓄は大切です。

  • 生命保険の終身保険
  • 一時払い終身保険
  • 個人年金保険
  • 学資保険
  • 投資信託
  • 積立NISAの利用

次に勤務している会社に退職金制度や企業年金などがない場合、退職してからとても生活が厳しくなってしまいます。

「えっ?退職金がない会社があるの?」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、実は退職金がない会社もあります。

また退職後に引き続き働ける会社もありますが、それでも退職金は絶対に受け取れる会社に勤めるようにしましょう。

退職金の額は、計算方法なども含め企業によってバラバラですが、一般的な相場は以下のようになっています。

学歴/企業の規模 大企業 中小企業
大学卒 2,489万円 1,139万円
高校卒 2,268万円 1,083万円

では、自分の会社は退職金制度はあるのかわからない…という方もいらっしゃるかと思うので、退職金制度のある会社の特徴について記載しておきましょう。

従業員が1,000人以上の企業は93.6%の割合で退職金制度を設けており、30人から99人の企業なら72.0%の割合で設けています。

このため、もし「今から勤め先を決める」という新社会人の方は、できるだけ大きい会社に入社するか、小さくてもちゃんと退職金のある会社に入社したいところですね!

既に就職されている方で「退職金があるか、わからない」という場合は、就業規則などの冊子をよく確認してみると良いでしょう。

次に、家を買うのが遅く定年後に住宅ローンが残ってしまうケースも老後の生活を圧迫する原因の一つです。

住宅ローンは毎月10万円前後という、大きな金額が必要となるローンです。年金収入だけではとても払い切れる金額ではありませんので、家を購入する場合は早めに、少なくとも現役時代に払い切れるように購入しましょう。

そのようなことを踏まえると「家は一生に一度の買い物だから、あれもこれも付けて不自由のない生活を…」と欲張らず、身の丈に合った金額の家の購入をおすすめします。

付け足したいオプションなどがある場合は、歳をとってから「やっぱりここはリフォームしたい」「足が弱くなったから手すりを付けたい」などの希望が出てきた時に、また考えるようにしましょう。

では具体的にはどれくらいの借り入れなら返済が可能か、という計算式を挙げておくと、返済負担率(%)=年間のローン返済額÷手取り年収×100という計算式があります。

例えば、毎月住宅ローンで85,000円払う方で年収が600万円の場合の返済負担率は、(85,000×12)÷(600×100)で17%となります。この返済負担率が20%までに収まっていることが理想です。

次に、歳をとってから子供ができた、また教育費をかけ過ぎた、というのも老後お金に困る人に多いパターンの一つです。

子供を育てるのには、莫大なお金がかかります。その額、一人当たり平均で約1,640万円…(出産から22年間)そのような大きな金額が定年間際に必要になってもとても払い切れません。

また、「子供のためだから…」と習いごとをあれもこれもさせたり留学させたりと、教育費をかけ過ぎるのも良くありません。

教育費に関しても「どうしても必要なものか」よく考えて使いましょう。または子供自身にバイトなどをさせることや、奨学金を利用することも検討してみましょう。

特に子供にバイトをさせることは、お金を稼ぐことの大変さを学ぶ機会や、社会人となることの勉強にもなりますので、子供にとって良い経験となることでしょう。

次に、妻と夫が別々に家計を管理している場合も、老後にお金に困ってしまう原因になることがあります。

「妻と夫それぞれにお金があって、良いじゃない?」と言う方もいらっしゃるかと思いますが…家計は一つにしておいた方が、いくら貯まっているのか明確になるのでおすすめです。

というのも、お財布を別々に管理していると「貯まっているかと思ったら全然貯まっていなかった!」というスレ違いが生じる危険があるためです。

もしもどうしても夫婦でお財布を別々にしておきたい場合、老後の資産用の口座だけは一つにまとめるか、2人でよく話し合って、今いくら貯まっているのかを日常的に確認するようにした方が良いでしょう。

最後に、親が貧乏で資金がない、介護など面倒をみなくてはならない、という場合も老後にお金がなくなってしまう原因の一つになります。

介護には入院代や通院費用など様々なお金がかかります。「介護保険とか年金でなんとかならないの?」と思っている方も多いのですが、年金の額よりも通院費や治療代の方が上回る場合も多いものです。

もしも親がまだ働ける状態で、老後のお金をあまり貯めていない、という方はぜひ「老後のお金貯めてる?」と確認しておきましょう。

以上のようなことが、老後にお金に困ってしまう方によくあるケースです。このようなことのないよう、紹介した解決策を検討してみてくださいね。

もう手遅れの場合は?お金がないと老人ホームは利用不可?

ここまでは、老後にお金に困ってしまう方のケースについて紹介してきました。それでは実際「もうすぐ定年だけど、老後の準備を全然していない!」という方はどうすれば良いのか?ということについて紹介していきましょう。

「もう定年間際なのに、老後の資金についてノープラン!」という方もいらっしゃると思います。このような場合、一日でも長く働き続けることが大切です。

退職するまでに、できるだけお金を稼いでおきましょう…もし定年後も働ける場所があるなら、可能な限り働き続けることをおすすめします。

働きに出ることは、お金を稼ぐ以外にも認知症予防や足腰を鍛える運動にもなりますので、特に「自分は何も趣味がない」という方には積極的に働きに出ましょう。

ちなみに平成29年1月1日以降、65歳以上の方も雇用保険の対象に制度が拡大されており、世間的にも「高齢者になっても働く!」という意欲のある方は増えています。

また「支出を見直して節約できるところは節約する」というのも一つの方法です。自分はお金を何に使っているか…1ヶ月でも良いので一度書き出して家計簿を付けてみましょう。

その中で削れるものは削っていきます。中でも毎月かかる固定費を削ると大きな節約になります。例えば携帯電話の利用料金などは固定費ですね。

プランを見直して安い料金プランにすると毎月節約になります。毎月10,000円近くかかっている携帯電話の費用が、格安スマホなどに変えて毎月2,000円くらいで済んだら…これだけでも1年で120,000円かかっていたものが、24,000円におさまります。

また車も必要がないなら手放した方が、車関係の税金の支払いや管理費用などが浮くため、節約になります。主な固定費の例を挙げてみましょう。

  • 住居費用(住宅ローンや家賃)
  • 車のローン
  • 通信費用(携帯電話料金やインターネットの料金)
  • 生命保険料
  • 学校で必要な給食費などの教育費
  • 習い事の月謝
  • 駐車場代金など

その他、持っている金融資産がある場合はそれを売却したり賃貸物件にするなどして活用して、お金に変えるという方法もあります。金融資産と言うと「土地」や「建物」をイメージする方も多いと思いますが…

骨董や古い書物など、オークションやリサイクル、フリマアプリなどに出品すると意外と高く売れた…という場合もあります。自分のできる方法を検討してみましょう。

老人ホームに入るにはどれくらいの資金が必要?

「お金がないと老人ホームには入れないの?」という疑問を持っている方もいらっしゃるかと思います。

老人ホームに入るには、どれくらいの資金が必要なのでしょうか。老人ホームの費用には「入居一時金」と「月額利用料」という費用がかかります。

「入居一時金」は入居時にかかる費用で前払金のことです。全体の施設の約3割は0円ですが、支払っておいた方が、月額利用料が安くなる場合が多いです。

「月額利用料」は入居してから毎月かかる費用です。内訳は賃料や食費、光熱費などです。この毎月かかってくる費用が年金よりも高いと、毎月の支払いが厳しい、ということになります。

2020年の時点で入居一時金の相場は、およそ10万円くらい、月額利用料の相場はおよそ13.7万円と言われています。

しかしながら、入居一時金も高い施設では100万円以上の施設もありますし、月額利用料は高いところでは20万円を超える場合もあります。それぞれの県別に入居一時金と月額利用料の平均値を紹介しておきましょう。

都道府県:入居一時金/月額利用料
北海道:34.9万円/12.5万円
青森県:1.1万円/8.3万円
岩手県:14.1万円 /11.5万円
宮城県:49.2万円 /14.4万円
秋田県:4.8万円/10.5万円
山形県:12.7万円 /11.6万円
福島県:38.3万円 /13.2万円
茨城県:55.8万円 /12.0万円
栃木県:28.2万円/13.8万円
群馬県:6.1万円/12.0万円
埼玉県:87.3万円 /16.3万円
千葉県:108.2万円/17.2万円
東京都:428.8万円/25.1万円
神奈川県:208.7万円/19.9万円
新潟県:31.2万円 /13.3万円
富山県:6.1万円/12.9万円
石川県:47.8万円 /11.4万円
福井県:17.9万円/11.7万円
山梨県:22.1万円 /13.0万
長野県:39.7万円 /14.2万円
岐阜県:22.1万円/13.3万円
静岡県:67.8万円 /14.7万円
愛知県:57.0万円 /15.6万円
三重県:8.3万円/13.0万円
滋賀県:116.8万円/14.7万円
京都府:170.9万円/18.1万円
大阪府:80.7万円 /14.7万円
兵庫県:243.9万円/18.1万円
奈良県:142.0万円/15.8万円
和歌山県:15.7万円/11.1万円
鳥取県:6.2万円/10.5万円
島根県:8.7万円/12.6万円
岡山県:26.5万円/13.2万円
広島県:25.9万円 /13.5万円
山口県:8.4万円/11.6万円
徳島県:5.5万円/10.5万円
香川県:9.7万円/13.1万円
愛媛県:9.4万円/11.4万円
高知県:3.8万円/10.6万円
福岡県:50.5万円/12.1万円
佐賀県:6.2万円/9.4万円
長崎県:14.6万円 /9.6万円
熊本県:11.9万円 /11.3万円
大分県:14.6万円/9.9万円
宮崎県:2.3万円/7.8万円
鹿児島県:15.1万円/10.2万円
沖縄県:22.4万円 /9.8万円

このように、老人ホームの施設でかかる費用は県によってピンキリであるため、安い施設を探して入居すれば年金だけでも入れないこともありません…また安い老人ホーム入るために、他県に引っ越すという方法もあります。

自分の体が不自由で、子供や配偶者などに介護をさせたり面倒をかけたくない…という思いで老人ホームに入ることを希望される方がほとんどかと思いますが、老人ホームに入るか入らないかは一度家族間でよく話し合ってみると良いでしょう。

もしも自宅で過ごすことが可能なら、やはり住み慣れた家で過ごせることが一番安心できると思います。

お金がない高齢者にならないために老後について考えよう

今回の記事では、お金のない高齢者にならないように、またそうなった場合の解決方法などについて紹介してきましたが、いかがでしたか?

老後にはたくさんのお金が必要であり、もしも体が弱って病院に行かなければならないなどの事態が発生した場合、年金だけでは通院費や入院費、介護費用などもまかなえないことも多いので、早めの貯蓄が必要です。

老後も働ける環境に恵まれている方は、できるだけ長く働き一日でも長く収入を得られるようにしましょう。

また支出を見直して節約を楽しむ、現在持っている金融資産を活用するなどの方法もあります。支出を見直す場合は、固定費の削減から行ってみましょう。

老後に老人ホームに入りたい、という場合は施設の入居一時金と月額利用料に注目しましょう。これらの金額は施設によって差があるため、安い老人ホームに入るために引っ越しをするというのも一つの方法です。

老後はたくさんのお金が必要ですが、子育てを終えた方は夫婦でゆったり過ごしたいという方もいらっしゃると思います。

どのような生活を送るにしても、ある程度の生活の余裕を持って過ごせるよう、老後のことはいつも頭の片隅に置いておくようにしましょう。