お金がないシングルマザーは公的支援金を大いに利用しよう

日本には、お金がないシングルマザーがほかの先進国に比べてかなり多いといわれています。最近はシングルファザーも多いようですが、非正規雇用が増大し、男性であっても安定した収入をえるのは難しくなっているのが現状です。

シングルマザーの全国平均収入は243万円、シングルファザーは420万円とされています。シングルマザーの家計の厳しさがうかがえますが、子どもの教育費などを考えればシングルファザーの平均年収も決して安心できる金額ではありません。

ここではお金のないシングルマザー(シングルファザーも)が国から受け取ることができる補助金や制度を詳しく解説していきます。

基本中の基本、児童手当の詳細と申請方法を解説

児童手当は、中学生までお子さんを養育している家庭であれば両親が健在であっても支給されます。

支給対象となる条件は以下になります。

  • 子どもが日本国内に住んでいる(留学などの事情で海外に住んでいる場合は一定の要件を満たしているとみなされれば支給対象になります)
  • 両親が何らかの理由により別居している場合は、子どもと同居している方に支給されます
  • 両親が仕事などで海外に住んでいる場合、両親が日本国内で児童を養育刷る人を指定すれば、その人に支給されます
  • 子どもを養育しているのが未成年(未成年後見人)であれば、その未成年後見人に支給されます
  • 子どもが施設に入所している、または里親などに養育されている場合は、原則として、その施設の設置者や里親などに支給されます

支給対象年齢と支給額は以下になります。

子どもの年齢 金額(一人当たりの月額)
3歳未満 15,000円
3歳~小学生まで 10,000円(第3子以降は15,000円)
中学生まで 10,000円

ただし、所得制限額以上の所得がある家庭は特殊給付として月額一律5,000円の支給となります。

支給される時期は原則6月、10月、2月です。支給月前までの金額が支払われます。たとえば、6月の支給日には3月~5月分の手当てが支給されることになります。

児童手当の申請時期と申請方法

児童手当は出産から15日以内に各市区町村に届け出をする必要があります。また、引っ越して住所が変わった場合も15日以内に届け出を出す必要があります。

どんなケースにせよ、15日以内に申請する必要があるということは覚えておきましょう。

届け出には以下の書類が必要になります。

  • 児童手当認定請求書
  • 養育者の健康保険証の写し
  • 養育者名義の振込先口座のわかるもの
  • 養育者の印鑑
  • 養育者の個人番号(マイナンバー)がわかるもの
  • 養育者の本人確認書類(運転免許証、パスポート等)

これらをそろえて各市区町村の担当窓口で手続きをしましょう。

担当窓口は役所によって違うのでwebで調べてから行くと手続きがスムーズになります。郵送による手続きができる市区町村もありますが、書類に不備があると手続きのやり直しになってしまうので、なるべく窓口に直接出向いたほうがいいでしょう。

ひとり親に養育されている子どもが対象の児童扶養手当

児童扶養手当は、ひとり親家庭の生活と自立を促すことと、子どもの健全育成をはかる目的としており、18歳未満の子ども、または障害が認められる20歳未満の子どもを養育するひとり親家庭、または両親に代わって子どもを養育している人に支給されます。

シングルマザーに限らず、以下の条件に該当する子どもを養育する母親、父親、養育者に支給されます。

  • 両親が離婚した場合
  • 両親のどちらかが死亡した場合
  • 両親のどちらかに程度の障害が認められる場合
  • 両親のどちらかが生死不明の場合
  • 両親から1年以上遺棄されている場合
  • 両親のどちらかが裁判所からのDV保護命令を受けた場合
  • 両親のどちらかから1年以上拘禁されている場合
  • 婚姻関係のない親から生まれた場合
  • 両親がいるかいないかが明らかでない場合
手当額(月額)は、子どもの人数、受給資格者の所得額で決定され、子ども一人につき10,120円~42,910円の間で支給されます。2人目は5,070円~10,140円可算され、3人目以降は 3,040円~6,080円づつ可算されます。

次のいずれかに該当する場合は支給を受け取れないこともあるので、詳しくは市区町村の担当窓口に問い合わせましょう。

  • 子どもが請求者の配偶者(事実婚も含む)に養育されている場合
  • 子どもが児童福祉施設などに入所している場合
  • 子どもが里親などに養育されている場合
  • 対象となる子どもが日本に住んでいない場合

児童扶養手当の申請時期と申請方法

児童扶養手当は申請すれば誰でも受給できるわけではなく審査に通らないと受給できません。

認定請求に必要な書類は以下になります。

  • 認定請求書
  • 申請者(養育者)と子どもの個人番号(マイナンバー)がわかるもの
  • 申請者(養育者)と子どもの戸籍謄本または戸籍抄本
  • 所得証明書(前年度分。状況によってはさらに前々年度分が求められる)
  • 申請者(養育者)の普通預金通帳
  • 本人確認書類(免許証、パスポート等)
  • 養育費に関する申告書(養育費を受け取っている場合は月々の金額がわかるもの)

書類は1か月以内に発行されたものを提出するのが原則とする自治体が多いようです。

場合によっては他の書類を添付するよう求められることもあります。やはりこちらも申請前にwebで確認してから窓口へ行ったほうがいいでしょう。

申請はなるべく早めに行うことをお勧めします。児童扶養手当は申請してから翌月の支給となります。時期をさかのぼって適用されることはありません。

つまり、早く申請したほうがもらえる金額が多くなるということです。

また、書類に不備があると翌々月からの支給になってしまうので、注意が必要です。

安定した収入を得るための母子(父子)家庭自立支援給付金

所得や就業の状況から生計を立てるのが困難なひとり親家庭の経済的自立を支援するために厚生労働省が自治体と共同で就業支援をする制度です。

対象となる職業訓練を受講し終了した場合、経費の60%が支給されます。(1万2,000円~最高80万円までの制限あり。修学年数によって異なる)雇用保険法に基づく教育金連給付金の支給を受けている場合は、支給額との差額が支給されます。

受講前に都道府県から口座の指定を受ける必要があるので、必ず窓口で確認するようにしましょう。

受給資格が得られるのは、以下の条件を満たすひとり親家庭です。

  • 20歳に満たない子供を扶養している
  • 児童扶養手当の支給を受けているか又所得水準である場合
  • 就業経験や技能、資格、労働市場の状況などから判断して、教育訓練が必要であると認められる場合

対象となる講座は、雇用保険制度の教育訓練給付の指定教育訓練講座、または都道府県等の長が地域の実情に応じて対象とする講座となっています。また、これとは別に1年以上の養成期間を要する資格取得を目指しているひとり親は高等職業訓練促進給付金を受けられる場合があります。対象となる資格は

  • 看護師
  • 准看護師
  • 介護福祉士
  • 保育士
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 歯科衛生士
  • 美容師
  • 社会福祉士
  • 製菓衛生士
  • 調理師

等があります。

支給期間は就学の全期間(上限3年)、支給額は住民税非課税世帯が月額100,000円、課税世帯は70,500円となっています。事前に都道府県への相談が必要となります。

ただし、この制度がない都道府県もいくつかあるので、必ず住んでいる都道府県のwebや窓口での問い合わせを忘れないようにしましょう。

配偶者と死別した場合は寡婦(寡夫)控除の対申請を忘れずに!

配偶者と死別した人は寡婦(寡夫)控除の対象となり、一定額の所得控除を受けることができます。対象となるのはその年の12月31日の時点でいかに当てはまる人です。

  • 配偶者と死別、または配偶者と離婚した後婚姻をしていない人、または配偶者の生死が明らかでない人で、扶養親族がいる、または生計を一にする子がいる人。子は、総所得金額等が38万円以下(令和2年分以後は48万円以下)で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族となっていない人
  • 配偶者と死別した後婚姻をしていない人または、夫の生死が明らかでない人で、所得金額が500万円以下の人(この場合は扶養親族などの要件は除外される)

これらの条件に該当する人は一般の寡婦(寡夫)となります。

一般の寡婦に該当する人が以下の条件を満たすときは、特別の寡婦に該当します(特別の寡夫はありません)。

  • 配偶者とと死別し又は夫と離婚した後婚姻をしていない、または配偶者の生死が明らかでない
  • 扶養親族である子がいる
  • 合計所得金額が500万円以下であること

控除される金額は一般の寡婦(寡夫)が27万円、特別の寡婦が35万円となっています。税金に関する疑問は国税庁や税務署で問い合わせてみましょう。

いずれにせよ、待っていれば自治体が手続きを進めてくれるものではありません。こちらから積極的に動かなければ受けられない制度ばかりです。めんどくさがらずに早めに各市区町村に確認してお子さんと自分の将来に備えましょう。