母子家庭でお金借りる場合に絶対利用したい!母子寡婦福祉資金とは?

母子家庭の場合、父親の稼ぎが無い分「いつも生活資金や教育資金が足りなくて大変!」ということが多いのではないでしょうか?

母親だけの稼ぎで子供を養っていくのは、大変な苦労と労力が必要になると思います。

しかしながら、お金が足りないからと言って普通のカードローンで借りるのは、ちゃんと返して行けるのか?審査に通るのか?と利用は慎重になりますし、何より不安が大きいですよね。

そんな時に利用したいのが、公的融資制度の「母子寡婦福祉資金」です。今回の記事では、この母子寡婦福祉資金とはどんな制度なのか、どうやって申し込むのかなど、詳しく紹介していきましょう。

市区町村からお金を借りられる?母子寡婦福祉資金とは

母子寡婦福祉資金とは、母子福祉資金貸付金や寡婦福祉資金とも言いますが、母子家庭の母親などが仕事を得るためや、子供の就学などで資金が必要となった時に、都道府県や指定都市、中核都市からお金を貸してもらえる制度です。

一般のカードローンと比べると、利息がない(またはあっても年率3%くらい)、償還期限は3年〜20年くらいある、などの特徴があります。

その他、資金の種類は以下のように「就学資金」や「事業開始資金」「生活資金」など全て合わせると13もの種類があり、自分にあったものを申し込めます。

資金の種類 貸付条件・利用使途/利率など
修学資金 母子家庭の母が扶養する児童、または父母のない児童。高校や大学などに就学させるための授業料など/無利子
事業開始資金 母子家庭の母、母子福祉団体。事業を開始するのに必要な設備や什器、機械の購入資金/無利子
事業継続資金 母子家庭の母、母子福祉団体。現在既に営んでいる事業を継続するのに必要な材料などの購入資金/無利子
技能習得資金 母子家庭の母。自ら事業を開始するまたは就職するのに必要な技能を習得するのに必要な資金/無利子
修業資金 母子家庭の母が扶養する児童または父母のない児童。事業の開始または就職のため必要な知識や技術の習得のための資金/無利子
就職支度資金 母子家庭の母が扶養する児童または父母のない児童。就職のために直接必要な被服や履き物などに利用する資金/無利子
医療介護資金 母子家庭の母または児童(介護の場合児童は除く)。医療や介護を受けるのに必要な資金/無利子
生活資金 母子家庭の母。技能習得中や介護を受けている間や母子家庭になって間もない間、失業中の生活などを安定させるための生活補給資金/無利子
住宅資金 母子家庭の母。住宅の建設、購入、保全改築、増築のための資金/年率3%
転宅資金 母子家庭の母。住宅の移転に必要な資金、また住宅の賃借に必要な資金/年率3%
就学支度資金 母子家庭の母が扶養する児童または父母のない児童。就学や修業に必要な被服の購入のための資金/無利子
結婚資金 母子家庭の母。母子家庭の母が扶養する児童のために利用できる/年率3%
特例児童扶養資金 母子家庭の母。平成14年7月に児童扶養手当の支給を受けていた方で、申請の際は現に支給を受けている児童扶養手当の額が平成14年7月分の児童扶養手当の額未満/無利子

貸付限度額や償還期限も、それぞれに異なります。無利子だからと言って気楽に捉えず、計画的な利用を心がけることが大切です。

修学資金 高校、専修学校=私立の限度額は30,000円、その他(自宅)月額45,000円(自宅外)月額52,500円/大学、高等専門、専修学校=私立の限度額は54,000円、その他(自宅)月額81,000円(自宅外)月額96,000円/専修学校=月額43,500円。償還期限20年以内、専修学校は5年以内
事業開始資金 2,830,000円、団体の場合4,260,000円。償還期限7年以内
事業継続資金 1,420,000円、団体の場合も同じ。償還期限7年以内
技能習得資金 一般=月額50,000円、特別=一括で600,000円(12ヶ月相当)、運転免許=460,000円。償還期限10年以内
修業資金 月額50,000円、特別460,000円。償還期限6年以内
就職支度資金 一般=100,000円、特別=320,000円。償還期限6年以内
医療介護資金 医療=310,000円(特別=450,000円)、介護=500,000円。償還期限5年以内
生活資金 一般=月額103,000円、技能=月額141,000円。償還期限技能習得10年以内、医療介護5年以内、生活安定貸付8年以内、失業5年以内
住宅資金 1,500,000円(特別=2,000,000円)償還期限6年以内、特別7年以内
転宅資金 260,000円。償還期限3年以内
就学支度資金 小学校=39,500円、中学校=46,100円、国公立高校=85,000円、修業施設など=100,000円、国公立大学(短大も含む)=380,000円、私立大学(短大も含む)=590,000円。償還期限就学20年以内、修業5年以内
結婚資金 300,000円。償還期限5年以内
特例児童扶養資金 平成14年7月の児童扶養手当の額から申請の際に現在支給を受けている児童扶養手当の額を控除した金額。償還期限10年以内

母子寡婦福祉資金に申し込むには?

母子寡婦福祉資金に申し込みをするには、最寄りの地方公共団体の福祉担当窓口に問い合わせます。

「地方公共団体の福祉担当窓口って何?」という方が多いかと思うのですが、インターネットで自分の住んでいる地域と福祉担当窓口、というキーワードで検索できます。

例えば、東京都渋谷区に住んでいる方の場合「渋谷区 福祉担当窓口」などのワードで検索してみましょう。渋谷区の「福祉部 生活福祉課」のホームページが見つかります。

もしも「ホームページが何も見つからない」という場合は、お住まいの市区役所で相談してみましょう。

さて、申請には以下のような書類が必要になります。市区役所や窓口で相談の際に揃えるようにしましょう。

また、利用する貸付制度や最寄りの市区町村によっては不要な書類もありますので、申し込みをする時によく確認してくださいね。

  • 申請書
  • 借用証明書
  • 戸籍謄本や住民票(3ヶ月以内に発行されたもの)
  • 所得証明書類
  • 住民納税証明書
  • 連帯保証人を立てる場合連帯保証人の所得証明書
  • 申請書のマイナンバーカード
  • 振り込み口座の預金通帳
  • 申請者の印鑑など

返済はいつから?すぐにしなくてはいけない?

お金を借りる、というとやはり一番気になるのは「返済について」ではないでしょうか。

返済は、貸付が終了してから6ヶ月、または1年置いてから始まるケースが多いようです。毎月決まった日に自動的に引き落とされる他、振り込みも可能です。

通常のカードローンなどの場合、返済日に引き落としができないと遅延損害金が年率20.0%の割合で発生する場合が多いですが、母子寡婦福祉資金の場合は納付期限を過ぎると、違約金が年率3%の割合で発生します。

貸付の種類によっては、せっかく無利子で借りられるのですから、余計な違約金を払うことなく支払いを終えたいですね。

所得や条件によっては申し込みができないケースもある?

母親だけ、または父親だけといったひとり親世帯のための貸付制度、母子寡婦福祉資金ですが、所得や条件によっては申し込みができない場合もあります。

対象者や、利用条件が以下のように定まっていますが、ひとり親世帯の方で「私は利用できるかな?」と不安に思っても、相談は無料なので一度問い合わせてみると良いですよ。

  • 母子家庭の母または父子家庭の父で20歳未満の子供を扶養していること
  • 母子家庭の母または父子家庭の父が扶養する20歳未満の子供であること
  • 20歳未満で父母がいないこと
  • 寡婦または寡夫(夫(妻)と死別または離婚した後再婚していない、または夫(妻)が行方不明)
  • 寡婦(寡夫)の扶養する子供
  • 配偶者のない40歳以上の女性の方(死別、離婚、行方不明などによる)
  • 申し込む場合住民票の置いてある市区町村に居住していること
  • 返済の意思、返済の能力が見込める方
  • 各資金の条件を満たしていること

「20歳以上の子を扶養している場合は利用できないのか?」という疑問のある方もいっしゃるのではないでしょうか。

20歳以上だと、成人しており収入を得る能力もあるため扶養から外れていることもあると思いますが、何らかの理由で扶養に入っていることもありますよね。

20歳以上の子を扶養している場合でも貸付を行っています。こちらの制度は「寡婦福祉資金」と呼ばれます。

子供が20歳以上で母子家庭、または父子家庭である場合や、扶養する子供のいない寡婦、40歳以上の配偶者のいない女性に対して貸付を行っています。

こちらの制度で貸付を受ける際も、所得制限などの条件がありますので、もし利用を検討したい場合は一度相談に行ってみましょう。

ここからは貸付条件になりますが、これまで紹介してきた母子寡婦福祉資金や寡婦福祉資金の制度を利用するには、まずは申し込む地域の市区役所に住民票が置いてあることが第一条件となります。

引越しをしたけど、住民票を移していない、本籍が実家の方に残したまま…そのようなことはありませんか?引越しをしたら速やかに自分の戸籍を住まいの市区町村に移しましょう。

自分の住民票が住まいの市区町村にない場合、公的な制度を利用できない、住民票などを取得したい時、戸籍がある市区町村まで行かないといけない、などのデメリットが発生します。

というわけで、ここでは住民票の移し方についてちょっと紹介しておきましょう。住民票を移す場合、同一市内での引越しの場合は新居へ引っ越したら14日以内に最寄りの市区役所で転居届を提出しましょう。

県外や他の市区への引越しの場合、引越し元の市区役所で「転居届」を提出します。すると「転出証明書」を発行してもらえるので、そちらを持って引越し先の市区役所で「転入届」と「転出証明書」を提出しましょう。

県外への引越しの場合も、引越してから14日以内に転居の手続きをするようにしましょう。14日過ぎても手続きは可能なので、まだの場合は速やかに手続きを済ませてくださいね。

次に、母子寡婦福祉資金などを利用するには「返済の意思がある、返済の見込みが立つ」ということも大事な条件となります。

「収入は何もない、ただお金がないから貸してほしい」というだけでは貸付は利用できませんので、何かしらの収入を得るようにしましょう。

母子寡婦福祉資金では、就職のために職業訓練などを受ける場合の資金でも貸付が可能です。(母の場合は「技能習得資金」、子の場合は「修業資金」や「就職支度金」です)積極的に利用しましょう。

その他、所得の高い方や同居家族の収入が高い方は母子寡婦福祉資金を利用することができません。所得制限については以下を参考にしてください。

扶養親族の数 申請者の所得/収入の高い同居家族の所得
0人 2,342,000円/6,216,000円
1人 2,722,000円/6,465,000円
2人 3,102,000円/6,678,000円
3人 3,482,000円/6,891,000円
4人 3,862,000円/7,104,000円
5人 4,242,000円/7,317,000円

また、以下のような場合も貸付制度を利用することができないので、注意しましょう。

  • 母子寡婦福祉資金の返還計画額とカーローンや各種クレジットなどのその他債務の返済額が月収の2割を超える
  • 税金や公共料金を滞納している
  • 過去に自己破産をした
  • 現在自己破産手続き中または債務整理の手続き中
  • 返還の見込みが立たない


母子寡婦福祉資金の利用の際には、窓口の担当職員と返済計画について話し合う機会がありますが、この毎月の返済額と、その他の債務の返済額が月収の2割を超える場合、返済が難しくなるケースが多いため貸付を利用できません。

カーローンやクレジットなど、毎月支払わなくてはならないものや返済するものが多い方は、少しでも残高を減らしておくようにしましょう。

使わないクレジットカードなどは、支払いが終わったら解約してしまうのも良いかもしれません。

また公共料金や税金を滞納している場合も貸付制度を利用することができません。申し込みを行う前に、滞納しているものをきちんと支払うようにしてくださいね。

自己破産や債務整理の手続き中の方も、貸付制度を利用することができません。手続きが落ち着いてから、申し込みを行うようにしましょう。

最後に、返還の見込みが立たないような場合も制度を利用することができません。無職で収入のない場合は、なんでも良いので毎月安定した収入を得られるようにしましょう。

母子寡婦福祉資金はひとり親世帯の味方!積極的に利用して

今回の記事では、母子寡婦福祉資金について紹介してきましたが、いかがでしたか?母子寡婦福祉資金は、母親だけ、または父親だけで子供を扶養している方や、親のない子供の味方です。

それぞれに利用条件や所得制限などの審査はありますが、ひとり親世帯でお金に困っている、という場合は最寄りの福祉窓口などで一度相談してみましょう。

ただ、収入のない場合はこの制度は利用できないので、無職の方は何かしら収入を得るようにする必要があります。

収入が得られるようにするための訓練にかかる費用などは、貸付をしてもらえる場合もあります。「自分には借りられるかな?」と不安に思ったら、一度相談に行ってみると良いですよ。